一日一言「人を許容できる度量」
一月二十八日 人を許容できる度量
人のすることなすことに、気に入らないことは多い。だからといって、他人が悪いわけではない。恐らく気に入らないと思う自分のほうが、悪い場合が多いのだろう。人を許容できる度量が小さいならば、自分の懐の小さいことや、器の小さいことを恥じるべきではないか。
善し悪しは人にはあらで我にあり
人の悪しきは我(わが)悪しきなり
人の我れに辛きも人をとがめずて
我が身のわろき影とこそ知れ
アンゴ先生にも曰く、
他人が正しくないと云って憤るよりも、自分一人だけが先づ真理を行ふことの満足のうちに生存の意義を見出すべきではないですか。郵便配達夫は先づその職域に於て最善の責務を果すことです。それもできずに、道義退廃だの政治の改革だのと騒いでも駄目です。私は結社や徒党はきらひで、さういふものゝ中でしか自分を感じ得ぬ人々は特にきらひなのです。
── 坂口安吾(『青年に愬ふ―大人はずるい―』)
- 作者:漱石・賢治・太宰・陽水ほか
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一日一言「男らしきは優しいこと」
一月二十七日 男らしきは優しいこと
承久元年(西暦一二一九年)今日は、源実朝が無残にも殺された日である。文武の道に秀だ青年であった右大臣実朝は、他の人々の怨みの犠牲になって、はかなくも殺されたけれど、彼の想いのほどは、その和歌に込められており、その自然観、その人生観は、男らしくて柔軟で、潔く忠実な志は、今なお、人の心の励みとなる。
大海の磯もとどろに寄する浪
われて砕けてさけて散るかも山は裂け海はあせなん世なりとも
君に二心(ふたごころ)我があらめやも<源実朝>
「男子は須(すべか)らく強かるべし、しかし強がるべからず。外(そと)弱きがごとくして内(うち)強かるべし。」
今後の男伊達は決して威張りの一方では用をなさぬ。内心剛(かた)くして外部に柔らかくなくてはならぬ。むかしの賢者も教えて曰く、
「人(ひと)剛(ごう)を好めば我(われ)柔(じゅう)をもってこれに勝つ」
と、曰く、
「柔能(よ)く剛を制す、赤子(せきし)に遇(あ)うて賁育*1(ほんいく)その勇を失う」と。
男子は須らく強かるべし、しかし強がるべからず。外弱きがごとくして内強かるべし。
負けて退(の)く人を弱しと思ふなよ知恵の力の強き故なり
とは、真の男子の態度であろう。
フリードリヒ・フォン・シラーに曰く、
勇敢なる男は、自分自身のことは最後に考えるものである。
*1:孟賁・夏育
寒梅忌
今日は寒梅忌。
1997年(平成9年)1月26日 藤沢周平 没
『鶴岡市立藤沢周平記念館』 http://www.city.tsuruoka.lg.jp/fujisawa_shuhei_memorial_museum/
『藤沢周平の世界』(朝日新聞) http://www.asahi.com/culture/fujisawa/
忘れようと・・・、忘れ果てようとしても、忘れられるものではございません
── (『蝉しぐれ』)
- 出版社/メーカー: NHKエンタープライズ
- 発売日: 2004/02/20
- メディア: DVD
あなたの不幸は、あなた自身が選んだものである
There is no such thing as a problem without a gift for you in its hands.
You seek problems because you need their gifts.
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いかなる種類や程度のものであっても、困難は君達に何かを与える。
君達は、言うなれば、困難さを捜しているのである。
困難さが与えてくれるものには、価値があることを知っているからである。
── リチャード・バック著(村上龍訳) (『イリュージョン』)
Illusions: The Adventures of a Reluctant Messiah
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