神の信仰は社会の複雑性が進化した結果
「やりたいことだけをだな、やり続けていくと、類は友を呼ぶの法則に従って、俺達から何かを学ぼうと思う人達を引きつける。そして俺達もまたその人達から何かを学ばなくてはいけない」
「でも人を引きつけられるようになるまでには、長い間の信仰が必要だろう?」
「信仰なんて言葉どこから持ってきたの?」
「いや別に、ちょっと使ってみただけ」
「信仰なんてバカの使う言葉だ」
「じゃ何だ」
「想像力」
そう言ってドンはチーズバーガーをかじった。パンの表面についていた胡麻がパラパラとテーブルに落ちる。ドンはその胡麻の一粒をつまんで見せた。
「君にこの胡麻くらいの想像力があれば、全ては可能だ」
── リチャード・バック著(村上龍訳)(『イリュージョン』)
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- 作者: Richard Bach
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主義トイフ主義ヨリ離レヨ!
此ノ世ハ何者ゾヤ。ソハ怨恨ト軋轢ノ遍満セル舞台ナリ。不信仰対基督教、「ロマ・カトリック」教対「プロテスタント」教、「ユニテリアン」教対「オルソドックス」(正統信仰)──人類ハ一部分ハ他ノ部分ニ対立シ、一部分中ノ一区分ハ同一部分中ノ他ノ区分ニ対立シテ其ノ天幕ヲ張リ、──各自ハ他ノ誤謬ト失敗トニヨリテ自己ヲ利セント試ミツツアリ。タダニ個人ガ信頼シ得ラレザルノミナラズ、人類ハ全体トシテ蝮ノ裔、人間嫌悪者、「カイン」ノ末裔ナリ。嗚呼我ガ霊魂ヨ、主義トイフ主義ヨリ離レヨ、ソレガ「メソヂスト」主義デアレ、組合主義デアレ、或ハ他ノ如何ナル高尚ニ響ク主義ナリトモ。真理ヲ求メヨ、汝自身ヲ一個ノ人間ノ如クニ振舞ヘ、人々ト絶テ、而シテ汝ノ上ヲ仰ギ見ヨ。
(この世とは何ぞや。それは怨恨と軋轢の遍満せる舞台なり。無信仰対キリスト教、「ローマ・カトリック」対「プロテスタント」、「ユニテリアン」対「オーソドキシー」(正統信仰主義)、――人類は一部分が他の一部分に対して、また一部分中の一細部が、同じ部分の他の細部に対して、対立してその天幕を張り、――互いに他人の誤りと失策とによって利益を得ようと試みつつあり。ただに個人が信頼し得られざるのみならず、人類全体としてまむしの裔、人間嫌悪者、「カイン」の末裔なり。ああわが霊魂よ、主義という主義より離れよ、それが「メソジスト」主義であれ、組合主義であれ、或いは他のいかなる高尚に響く主義なりとも。真理を求めよ。汝自信を個人の人間の如くに振る舞え、人々と絶して、そして汝の上を仰ぎ見よ。)
『内村鑑三 - Wikipedia』 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E6%9D%91%E9%91%91%E4%B8%89
『無教会主義 - Wikipedia』 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E6%95%99%E4%BC%9A%E4%B8%BB%E7%BE%A9
『新渡戸稲造及び内村鑑三の門下生 - Wikipedia』 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%B8%A1%E6%88%B8%E7%A8%B2%E9%80%A0%E5%8F%8A%E3%81%B3%E5%86%85%E6%9D%91%E9%91%91%E4%B8%89%E3%81%AE%E9%96%80%E4%B8%8B%E7%94%9F
『新渡戸稲造 - Wikipedia』 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%B8%A1%E6%88%B8%E7%A8%B2%E9%80%A0
余は如何にして基督信徒となりし乎 (岩波文庫 青 119-2)
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- 作者: 内村鑑三,鈴木範久
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ぼくはいかにしてキリスト教徒になったか (光文社古典新訳文庫)
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一日一言「しなくてはならない」
三月二十七日 しなくてはならない仕事
しなくてはならない仕事は、気軽く積極的にすること。何事でも気持ちよく手を動かせば、仕事がはかどって疲労も少ない。仕事がいやだと思えば思うほど神経を痛め、億劫にすればするほど神経を痛める度合いが増すことになる。
早ければ為す事有りて身は安く
遅くて急ぐ道は苦しし
すべき事片付けるこそ善所なれ
せずに置く気はいつも苦しむ
お千代さんにも曰く、
何事をするにも、それをするのが好き、と言う振りをすることである。それは、単なるものまねでもいい。すると、この世の中に、嫌いなことも、また嫌いな人もいなくなる。
── 宇野千代 (『行動することが生きることである』)
ドナルド・キーンは、アメリカで日本の心をどう教えたか
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いざ友よ、ただ飲まんかな。唄はんかな。
「あの時のようにもう一度この鬣(たてがみ)を振りあげて駆け出してくれ。」
「あの頃の歌を歌おうよ。」
「ゼーロン。お前は、強欲者の酒倉を襲って酒樽を奪掠だつりゃくするこの泥棒詩人の、ブセハラスではなかったか! あの時のようにもう一度この鬣を振りあげて駆け出してくれ。これでも思い出せぬと云うならば、そうだ、ではあの頃の歌を歌おうよ。僕が、この Ballad を歌うとお前は歌の緩急の度に合わせて、速くも緩ゆるやかにも自由に脚竝みをそろえたではないか。」
- 作者: 牧野信一
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彼の死ほど物欲しさうでない死はない。死ぬことは、彼にはどうでもいいことだつた。すべてはただ生きることに尽されてゐた。彼の生は「死」の影がすこしも隠されてゐない明るさのために、あまりにも激しく死に裏打されてゐた。生きることはただ生きることそれだけであるために、彼の生は却つて死にみいられてゐた。だから、彼の死は自然で、すこしも劇的でなく、芝居気がなく、物欲しさうでないのだ。即ち純粋な魂が生きつづけた。死をも尚生きつづけた。さうではないか、牧野さん。生きるために自殺をするといふのは多くの自殺がさうであるが、牧野さんは自殺を生きつづけたと言ふべきである。彼は生きつづけてしまつたのだ。明るい自殺よ。彼の自殺は祭典であつた。いざ友よ、ただ飲まんかな。唄はんかな。愛する詩人の祭典のために。
── 坂口安吾(『牧野さんの祭典によせて』)