「上からの演繹」は、かならずまちがった結論へと導く。
「【産経抄】『安倍首相は悪である』演繹法を誤用するマスコミ報道」(産経新聞)
→ http://www.sankei.com/column/news/170715/clm1707150003-n1.html
一般的な原理から、事実関係を推理・説明することを「演繹(えんえき)」という。AはBである。BはCである。ゆえにAはCである-という「三段論法」は、演繹によって判断を求める演繹法の代表的なものだとされる。これを用いた結論が真であるためには、前提の正しさと、飛躍がないことが不可欠だろう。
安倍晋三首相は、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画をめぐり、野党が要求する閉会中審査への出席を決めた。自ら説明を尽くすという考えに異存はないが、マスコミがその中身をきちんと伝えるかというと心もとない。
これまでの一連のマスコミ報道を追うと、演繹法が誤用されている印象が濃い。安倍首相は悪である。加計学園理事長は安倍首相の友人である。ゆえに不正がなされたに違いない。そんな根拠のない前提のもとで、飛躍した論理が流布されてはいないか。
『ビルマの竪琴』の作者として知られるドイツ文学者、竹山道雄は唯物史観を批判する評論の中でこう説いた。「まずある大前提となる原理をたてて、そこから下へ下へと具体的現象の説明に及ぶ行き方は、あやまりである」。
その上で、さらに続ける。「『上からの演繹』は、かならずまちがった結論へと導く。(中略)事実をこの図式に合致したものとして理解すべく、都合のいいもののみをとりあげて都合の悪いものは棄(す)てる」。
衆参両院が10日開いた閉会中審査で、加計学園誘致を進めた当事者の加戸守行・前愛媛県知事が行った証言について、翌11日付の朝日新聞と毎日新聞の朝刊は、一般記事中で一行も取り上げなかった。安倍政権の対応を批判する前川喜平・前文部科学事務次官の主張と真っ向から食い違うため、都合が悪いと棄てたのだろう。
- 作者: 竹山道雄
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「朝日新聞 勘違いしていませんか」
「朝日社説『蓮舫氏の戸籍公開はあしき前例』こそ『勘違い』」(産経新聞)
→ http://www.sankei.com/politics/news/170713/plt1707130037-n1.html
民進党の蓮舫代表の「二重国籍」問題をめぐり、朝日新聞は13日付朝刊で「民進党 勘違いしていませんか」とする社説を掲載し、戸籍謄本の公開について「プライバシーである戸籍を迫られて公開すれば、例えば外国籍の親を持つ人々らにとって、あしき前例にならないか」と懸念を示した。蓮舫氏のケースに限っていえば、この指摘こそ「勘違い」ではないか。
もちろん、親が外国人であったり、外国籍から帰化した人への差別はあってはならないし、排外主義的に出生の秘密を探ることは許されない。しかし蓮舫氏は国会議員であり、中でも首相の座を狙う野党第一党の党首という特別な立場だ。
首相は自衛隊の最高指揮官であり、日本の国益を左右する外交と安全保障に最終的な責任を持つ。首相の国籍問題は一点の曇りもあってはならず、一般人とは比較にならないほど説明責任を求められる。
蓮舫氏は「生まれたときから日本人」と述べていたのが「日本国籍の取得は17歳」と変わり、「台湾籍は抜いている」が「確認したところ残っていた」と説明が変遷した。昨年10月に台湾籍の除籍手続きを終え日本国籍の選択宣言をしたと表明したが、証明する公的書類は公表していない。
朝日社説も「公党のリーダーとして不適切だった」としたが、口頭だけでは信用してもらえない素地を作ったのは蓮舫氏本人だ。
こうした対応は党首としての信頼性を失墜させ、民進党の支持率が低迷する一因となったのは明らかだ。東京都議選でも、民進党を離党した元公認候補は「街頭で『二重国籍の代表は信用ならない』と罵声を浴びた」と証言している。
蓮舫氏が国籍問題で説明責任を完全に果たさない場合こそ「あしき前例」になる。
「(社説)民進党 勘違いしていませんか」(朝日新聞)
→ http://www.asahi.com/articles/DA3S13033443.html?ref=editorial_backnumber
「沈黙の春」の罪
「【産経抄】『沈黙の春』がヒアリの拡大を許した」(産経新聞)
→ http://www.sankei.com/column/news/170712/clm1707120003-n1.html
クラムチャウダーという料理がある。貝のむき身にジャガイモやタマネギなどの野菜を加えて作る。発祥の地である米国の東海岸では、現地でよく採れるホンビノス貝が使われる。
ハマグリを大きくしたような貝が平成12年ごろから、東京湾でも見られるようになった。外国貨物船のバランスを取るために注入されるバラスト水に紛れ込んで運ばれてきたらしい。今では、江戸前の新顔として定着している。
こんな外来生物なら大歓迎だが、そうは問屋が卸さない。17年に施行された「外来生物法」で指定された、日本の生態系を乱す生物との戦いは終わりが見えない。22年前に大阪府で発見されて大騒ぎとなったセアカゴケグモは、今も生息域を広げている。
国内各地で発見の報告が相次いでいるヒアリは、この毒グモと比べても攻撃性と毒性ともに高いというから、恐ろしい。アルゼンチン原産の凶暴なアリは、1930年代に貨物船の積み荷に潜んで、米国南部に侵入した。被害を大きくしたのは、環境汚染の告発者として知られる米国の生物学者、レイチェル・カーソンとの指摘もある。62年に発表した『沈黙の春』で、ヒアリの被害を否定し、農薬の危険性を強調していた(『アリの社会』東海大学出版部)。
その後もオーストラリアや中国、台湾へと「密航」を続け、ついに日本にたどり着いたというわけだ。まさにグローバル時代を体現している生き物である。米国ではヒアリに刺されて年間約100人が死亡し、5千億円もの経済損失が出ている。
専門家によれば、ヒアリが巣を作って数年後、羽を持った女王アリが飛び立ってしまえば、駆除が難しくなる。テロとの戦いと同じように、水際作戦を成功させるしかない。
- 作者: レイチェルカーソン,Rachel Carson,青樹簗一
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「サヨナラ」ダケガ人生ダ
コノサカヅキヲ 受ケテクレ
ドウゾナミナミ ツガシテオクレ
ハナニアラシノ タトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ 人生ダ
平成5年7月10日、井伏鱒二 没。
- 作者: 井伏鱒二
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”保守主義の父”
民主政において、多数者は少数者に対して最も残酷な抑圧を加えることができる。
1797年7月9日 エドマンド・バーク 没
積み上げてきた過去の叡知を蔑ろにし、革命の名の元に目先の破壊にカタルシスを得ようとする愚衆に異を唱える、”保守主義の父”。
箴言十選
- 自分の先祖を振り返って見ようとしない徒輩は、決して自分の後裔にも目を向けようとしないだろう。
- 完全な民主主義はこの世で最も厚顔無恥な代物であり、そして最も厚顔故に、最も恐れ知らずな代物だ。
- ”智慧を欠いた自由”とは一体何でしょうか。”美徳無き自由”とは一体何でしょうか。それらは全ての害悪の中で最大の害悪です。悪徳です。狂気です。
- デモクラシーは、暴政と、驚くほど共通点がある。
- 人民の迫害の下では、個々の受難者は暴君政治その他の政体よりもはるかにもっと悲惨な状態に苦しむ事になる。
- 全ての道徳的義務の実践についても社会というものの基礎についても、その理由や根拠が人々に明証されねばならないとの説に従うならば、世界はどうなるのだろう。
- 偏見は人間の美徳を習慣化する。
- 絶対的デモクラシーは、絶対君主制に劣らず、正統な統治の政体とは認めがたい。
- 水平化しようとする人間は決して平等をもたらさない。
- 深慮、熟考、先見の明などが百年もかかって建設できる以上のものを、怒りと逆上ならば僅か半時間で引き倒す。
- 作者: 中川八洋
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- 作者: エドマンド・バーク,半沢孝麿
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- 作者: エドマンドバーク,Edmund Burke,佐藤健志
- 出版社/メーカー: PHP研究所
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