NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

「軽蔑すべき敵たち」

「【産経抄】陰湿な小細工ばかり仕掛ける『軽蔑すべき敵たち』 レッテルを貼っておとしめる、なりふり構わぬプロパガンダ 4月30日」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/column/news/160430/clm1604300005-n1.html

 「軽蔑すべき敵たちを持ってはならない」。ドイツの哲学者、ニーチェはこう戒めている。むしろ、自分の敵を誇りとすれば、敵の成功は己の成功でもあるのだと。滋味深く、反芻(はんすう)すべき言葉だが、実践するのはなかなか難しい。時として、あまりに低劣な相手から一方的に攻撃を受けることもある。

 東京の地下鉄では最近、本物の広告を加工して中身をすり替えたステッカーなどが、複数枚見つかった。「読売や産経のように、あまりにも権力べったりになるなら“政党機関紙”でいい」。車内でこんな押しつけがましい政治的主張を読まされた通勤客は、朝から不快だろう。

 同様の事例は昨年3月にもあった。このときはJR東日本の列車の窓に、安倍晋三首相の写真とともに「戦争ができる国へ」「頭が幼稚なこども総理」などと書かれたシールが貼られていた。頭が幼稚なのはどっちだろうか。

 自分と異なる意見やものの見方が存在することや、相手にも一定の理があることを頭から認めず、レッテルを貼っておとしめる。自分の主義・主張を訴えるためには、法に触れても気にしない。そんなやり方が共感を呼ぶとは思えない。

 ただ、似たようななりふり構わぬプロパガンダ(政治宣伝)や印象操作、レッテル貼りの手法は、国会質問や街頭演説でも繰り返されていた。選良たる国会議員や大学教員らが率先して悪い手本を示した形か。

 ちなみに、29日付小紙社会面では、政府の一員である自民党議員の「政治とカネの問題」を大きく取り上げている。小紙の報道姿勢を批判するのなら、紙面の実態に即して正々堂々とやってもらいたい。陰湿な小細工ばかり仕掛ける「軽蔑すべき敵たち」など、これ以上は見たくない。

『2016年04月28日(Thu) 政治的プロパガンダ』 http://d.hatena.ne.jp/nakamoto_h/20160428