NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

一日一言

八月二十三日 力の善用


 自分の力が人の役に立つと思ったときは、人が出しゃばりと嘲笑しても、進んでやるべきである。自分の力をただ見せつけるだけのものなら、人が勧めてもこれを断るべきである。天が自分に力を与えたのは、人のために尽くすためで、善いことに力を使えば、使うほどのおおきなものになるし、人のために使わなければ、おとろえていき、悪いことに使ったなら、これはすべて無と化す。

── 新渡戸稲造(『一日一言』)

古人に曰く、「情けは人のためならず」。我のためなり、と。

心に良い行いは、身体にも良いのである。


「『世のため人のため』は、身体を健康にする」(IRORIO)
 → http://irorio.jp/sophokles/20130820/73696/

 人に親切にしたり、誰かを助けてあげたりすると、気持ちがいい。おいしいものを食べたり、エステサロンでマッサージを受けたりしても、気持ちいい。どちらも気持ちいいが、この2つには大きな違いがある。最初の方は精神的で、後の方は肉体的? そうとも言える。最初のは次元が高く、後のは低次元? そうとも言える。けれど、もっとはっきりした、私たちの健康に直接かかわる違いがあることが、最近の研究で分かってきた。精神的な、高次元の気持ちよさを味わうと、細胞の中にある健康にプラスになる遺伝子が力を発揮し、マイナスになる遺伝子はおとなしくなるというのだ。

 この研究を行なったのは米ノースカロライナ大学の研究者グループで、結果は米科学アカデミーが発行する機関誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」の最近の号に掲載されている。研究のリーダーである心理学教授の発言によれば、低次元の気持ちよさは「細胞の炎症にかかわる遺伝子の発現を促す一方、免疫力や抵抗力にかかわる遺伝子の発現を抑制する」ので、健康にあまりよくない。一方、高次元の気持ちよさを味わうと、「これとは逆の、健康にいい反応が起こる」とのこと。当然、炎症が起こりにくい、抵抗力のある体になるということだろう。

 肉体的な快楽がもてはやされる時代は、そろそろ終わりそうだ。これからは、世のため人のために何かをやって、それで気持ちよくなって、さらに健康にもなるという時代が来る。


ママに言わせれば、、、

「 すべて楽しいことは、お腹にいいのですよ! 」

── ムーミンママ(『ムーミンパパの冒険』


 先日新聞紙の報ずるところによれば浅草の本願寺だかで浮浪者の救護に挺身し、窮民達の敬愛を一身にあつめてその救護所の所長におされてゐた某医大の学生が発疹チフスのため殉職したそうである。又、引揚同胞の救護に挺身してゐる一団の大学生諸君もある由、青年はまつたく純潔です。世間の賞賛だの報酬などを打算せず、ただ純真の発露のまゝに理想をもとめて行動しうるもので、大人は聖人君子でないとこんなことはできないが、青年はその天性によつてかゝる無償の偉業を為しうる。聖人君子は数へるほどしかゐないが、青年は常に無限です。
 大人はずるいものだ。表と裏が別で、口では正義を説きながら裏では利慾をはかり、自らの為し得ざえることを人には要求し、カラクリだの陰謀術数を人生の経緯とし、これを称して人間ができてゐるとか、大人物だとか、申してゐます。青年の純潔さや一本気な情熱などは青二才の馬鹿さ加減と考へてゐるのが常識で、又、悲しむべき現実でもあります。

── 坂口安吾『青年に愬ふ―大人はずるい―』