NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

「それもまたよし」

1989年(平成元)4月27日 松下幸之助 没

 逆境 ── それはその人に与えられた尊い試練であり、この境涯に鍛えられてきた人はまことに強靱である。古来、偉大なる人は、逆境にもまれながらも不屈の精神で生き抜いた経験を数多く持っている。
 まことに逆境は尊い。だが、これを尊ぶあまりに、これにとらわれ、逆境でなければ人間が完成しないと思いこむことは、一種の偏見ではなかろうか。
 逆境は尊い。しかしまた順境も尊い。要は逆境であれ、順境であれ、その与えられた境涯に素直に生きることである。謙虚の心を忘れぬことである。
 素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境は自惚れを生む。逆境、順境そのいずれも問わぬ。それはそのときのその人に与えられた一つの運命である。ただその境涯に素直に生きるがよい。
 素直さは人を強く正しく聡明にする。逆境に素直に生き抜いてきた人、順境に素直に伸びてきた人、その道程は異なっても、同じ正しさと聡明さを持つ。
 おたがいに、とらわれることなく、甘えることなく、素直にその境涯に生きてゆきたいものである。

── 松下幸之助『素直に生きる』

『創業者 松下幸之助』(Panasonic) http://panasonic.co.jp/founder/
PHP総合研究所』 http://research.php.co.jp/



ホトトギス。

信長、秀吉、家康の「鳴かぬなら~」の例のやつ。

「松下さんなら?」と、問われて曰く、

鳴かぬなら それもまたよし ホトトギス


言葉には力がある。
ことば。言の端。言霊。


困難に出会った時、投げ出したくなった時、くたびれた時、言葉が助けてくれる。
ポケットに名言を。


後悔してしまいそうな時、どうしようもない時に使う言葉。


諦観。
それもまたよし。と。


前を向く。