「正義」
昨日の『産経抄』は山本夏彦語録でした。
「正義」と「良心的」なるものを嫌悪したのが山本夏彦だった。きいたふうなしたり顔で正義ぶり、良心的ぶって日本を悪くいう自虐派などを批判し、軽蔑(けいべつ)したのである。「戦争に勝敗はあるが、正邪はない。東京裁判なんて前代未聞の偽善である」ともいった。
▼再び山本夏彦の言葉を借りると、「今はにせ物と言うか夢まぼろしの時代になった。実物を見た人より、幻影を見た人のほうが詳しいのを不思議に思わない時代になった」と。幻影で若者をミスリードしてはならない。十五日から新聞週間が始まった。
『産経抄(10/16)』 http://www.sankei.co.jp/news/041016/morning/column.htm
久しぶりに、山本夏彦名言集。
- テレビは巨大なジャーナリズムで、それには当然モラルがある。私はそれを「茶の間の正義」と呼んでいる。眉ツバものの、うさん臭い正義のことである。
- 小学生のホームルームと、大学生のディスカッション(討論会)との間に、差別があろうか。そこにあるのは、八百長だけではないか。弁論討議のたねは、みんな今朝の新聞に出ていた。彼らはこれを思想の交換、または言論の自由と称している。私は「ぱくぱく」と称している。
- 私は、正直者は馬鹿をみるという言葉がきらいである。ほんとんど憎んでいる。まるで自分は正直そのものだと言わぬばかりである。この言葉には、自分は被害者で潔白だという響きがある。悪は自己の外部にあって、内部にはないという自信がある。
- 理解をさまたげるものの一つに、正義がある。良いことをしている自覚のある人は、他人もすこしは手伝ってくれてもいいと思いがちである。だから、手伝えないと言われるとむっとする。むっとしたら、もうあとの言葉は耳にはいらない。
- 私は衣食に窮したら、何を売っても許されると思うものである。女なら淫売しても許される。ただ、正義と良心だけは売物にしてはいけないと思うのである。
- 汚職は国を滅ぼさないが、正義は国を滅ぼす。
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