「まねするばか」
むやみと自殺を急ぐ人間がふえている。埼玉県皆野町と三浦半島・横須賀市の山中で、ネットで知り合った七人と二人がそれぞれ車中で練炭を燃やして死んでいたという。こう書くとすぐまねするばかが、いや人たちが出るだろう。
▼自殺するものは知っちゃあいまいが、残された家族は嘆き悲しみ、世間は一様に顔をしかめる。百歩譲って人には自殺する権利があると仮定しても、世間に迷惑をかける権利は持ち合わせていないのだ。人間は苦しくても生きていかねばならぬように出来ている。
▼「自殺は精神の自由を求めて、ついにそれを失うものに過ぎぬ」といったのはゲーテだった。このゲーテは哲学者というより詩人だ。考えてみればいい。自殺した自分の遺体が始末される情景を想像してみれば、まったく詩的でないことがわかるだろう。
『産経抄』(10/14)→ http://www.sankei.co.jp/news/041014/morning/column.htm
自殺の連鎖を食い止めるには、石井英夫さんの『産経抄』がそうしているように、徹底的に批判するのがよい。
そして、安吾。
「生きることだけが、大事である、ということ。たったこれだけのことが、わかっていない。本当は、分るとか、分らんという問題じゃない。生きるか、死ぬか、二つしか、ありゃせぬ。おまけに、死ぬ方は、ただなくなるだけで、何もないだけのことじゃないか。生きてみせ、やりぬいてみせ、戦いぬいてみなければならぬ。いつでも、死ねる。そんな、つまらんことをやるな。いつでも出来ることなんか、やるもんじゃないよ。」
─ 『教祖の文学・不良少年とキリスト (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)』
『集団自殺』(毎日新聞) http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/shudanjisatu/
「俗なる人は俗に、小なる人は小に、俗なるまま小なるままの各々の悲願を、まっとうに生きる姿がなつかしい。」
─ 『日本文化私観 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)』
教祖の文学・不良少年とキリスト (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
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