一日一言「愚者に勝る愚」
十月十一日 愚者に勝る愚
非難する人の言葉を聞いて、自分が悪かったと悟ったならば、これは大きな拾い物をしたのと同じである。人の非難することが自分に覚えのないことであれば、その人のおろかさを表すものであるから、おろかな者を相手にすることなく、その人の思慮の足りないことをあわれむべきである。
わがことを謗られつつも其の人に
ふびん加ふる人の仕合(しあはせ)
子のたまわく、
過ちて改めざる、これを過ちと謂う。
孔子様がおっしゃるよう、「過ちは致し方ないが、誤っても改めないのが、本当の過ちというものじゃ。」
(孔子様は、過つなとは言われない。過ったら改めろと言われる。また顔回(がんかい)をほめるにも、過ちをしなかったとは言わず、過ちをふたたびしなかったのがえらいと言われる。子夏(しか)や子貢(しこう)もその意を受けて、過ちをかざるを小人(しょうじん)とし過ちを改めるを君子とするに、「古(いにしえ)の君子は過ちてはすなわちこれを改む。今の君子は過ちてはすなわちこれに従う。」とあるのも、同じ流れの考えだ。)── 『新訳論語』(穂積重遠)
- 作者: 穂積重遠
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