NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

一日一言「光陰矢の如し」

九月三十日 光陰矢の如し


 月日のたちのは早いもので、昨日まで青々していた田んぼも、今日ではすっかり色が変わり山の木の葉も風で散り、まさに秋の景色となった。それにつけても、世は常ならず、この世の流れはさておいても、自分の周りの人々のことでも、変化は数多くある。


  昨日見し人はと問へば今日はなし
      明日また我れも人に問はれん

── 新渡戸稲造(『一日一言』)



人間は悲しいものだ。

 人間は悲しいものだ。切ないものだ。苦しいものだ。不幸なものだ。なぜなら、死んでなくなつてしまふのだから。自分一人だけがさうなんだから。銘々がさういふ自分を背負つてゐるのだから、これはもう、人間同志の関係に幸福などありやしない。それでも、とにかく、生きるほかに手はない。生きる以上は、悪くより、良く生きなければならぬ。

── 坂口安吾『教祖の文学』