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牛乳は良いのか悪いのか

「牛乳が健康に与える影響について。メリットとデメリットの両方を知る」(LITORA)
 → https://litora.jp/13575/

一般的に健康によいと思われている牛乳ですが、正反対の主張も存在します。牛乳は健康によい飲み物だという意見、有害なので飲んではいけないとする意見、それぞれ根拠となる調査があります。利点と難点の双方から、現代の牛乳事情を知りましょう。


牛乳は健康によいのか悪いのか知りたい
「牛乳は体にいいもの」と一般的に広く認知されていますが、健康に悪影響を与えるという話も耳にします。実際のところどちらなのか、はっきりさせたいとお考えの人もいるのでは?

そこで、牛乳が体に与えるさまざまな影響についてお伝えしていきますので、それぞれの根拠を知り、どちらがより真実に近いのか、考えてみましょう。


牛乳に対する考え方が二つに分かれている
「牛乳はカルシウム豊富で健康にいい飲み物である」という考えと、「牛乳は体によくない」という考えがあります。

学校給食で、毎日牛乳を摂取している子供たちがいる一方で、「体によくない」に留まらず「有害である」「危険である」とまで表現して、警鐘を鳴らす文言が、ネット上や書籍にあふれています。同じ食品でありながら、正反対の意見が存在しているのです。


牛乳の主な健康効果について
「牛乳は健康にいい」といえる、主な根拠は3つあります。

骨を丈夫にする
最もなじみのある健康効果は、牛乳に豊富に含まれるカルシウムによるものです。カルシウムには、新しい骨や歯の細胞を作る働きや、神経やホルモンに作用して精神を安定させ、イライラを鎮める働きがあります。

200mlの牛乳に、およそ230mgのカルシウムが含まれていて、その吸収率は50%とされます。牛乳のカルシウム吸収率は、小魚の30%や大豆製品・野菜の18%と比べて、かなり優秀な数字です。これは、牛乳の「乳糖」と「カゼインホスホペプチド」という成分が、カルシウムの吸収を助けているためです。

貧血を予防する
牛乳に含まれる「ラクトフェリン」というタンパク質は、鉄と強固に結びつき、吸収を高める働きがあるので、貧血を予防できるといわれています。

さらに、脂肪の分解を促進する作用や、抗菌・抗ウイルス作用による感染症予防、免疫力アップ、腸内環境の改善など、さまざまな働きがあります。ラクトフェリンは、母乳に含まれていることでも有名で、「多機能タンパク質」との別名もあるほどです。

風邪予防になる
牛乳には、風邪を予防する栄養素「ビタミンA」が豊富に含まれています。風邪などのウイルスが、体内へ侵入しようとすると、鼻や喉の粘膜が防ごうとしますが、ビタミンAには、この粘膜を健康に保つ作用があります。

さらに抗酸化作用もあるので、体内の老化を予防することでも知られています。また、強い体を作るために必要な、良質なタンパク質が豊富なことも、牛乳が風邪予防によいといわれる理由の一つです。


どんな人が牛乳を飲むことをすすめられているか
牛乳の積極的な摂取が望まれるのはどういった人か、具体的に挙げていきます。

カルシウムが必要な子供や妊婦
骨を作るカルシウムや、体の元となるタンパク質を得るために、子供や妊婦に牛乳の摂取が推奨されています。学校給食では、「1日分の必要な栄養素」として、200mlの牛乳の摂取が義務付けられた時代もありました。現在も平成21年に施行された「学校給食実施基準」において、カルシウムの目標値の摂取に努めることを促すとともに、牛乳、調理用牛乳、乳製品の積極的な使用が推奨されています。

また厚生労働省では、妊娠中のカルシウム摂取に牛乳をすすめています。『妊産婦のための食事バランスガイド』によると、妊娠初期から中期には、牛乳・乳製品を1日にニつ、後期には三つ摂ることを目標に掲げています。産後の授乳期にも骨量が減少するため、妊娠後期と同量の摂取が目標です。

効率的にカルシウムが摂れる食品として、牛乳やヨーグルトなどの乳製品がすすめられています。その一方で、偏った食習慣にならないように、いろいろな食品を取り入れて、カルシウム目標値を達成するように促しています。

骨粗鬆症の人
骨粗鬆症の患者には、骨を強くするために牛乳を飲むことがすすめられています。骨粗鬆症は、骨密度が低下して骨がもろくなり、骨折しやすくなってしまう病気です。

子供のころに、牛乳や乳製品を多く摂取すると、骨量の増加につながることが分かっています。また、中高年の女性が牛乳などの摂取量を増やすと、閉経後の骨量の減少が抑制されるという報告があります。
また、加齢によって食事量が減り、タンパク質の摂取量が減ってしまうことも、骨粗鬆症の主な原因といわれています。丈夫な骨を作るために、カルシウムとタンパク質を豊富に含む牛乳がおすすめされています。



牛乳が健康によくないと思われる主な理由
牛乳を「有害」とまで表現する理由は、どこにあるのでしょうか。

乳がんなどのリスクが高まる
「がん発生率と摂取した食品との関係」については、世界中でさまざまな調査が行われています。とある調査によれば、乳がんと最も関係の深い食品は肉で、ついで乳・乳製品という結果が出ています。

牛乳には、女性ホルモンである「エストロゲン」が多く含まれています。乳がん患者の血中エストロゲン濃度が、非乳がん患者と比べて高いことから、乳がんの発生率が、エストロゲンの摂取に関係していると考えられています。
乳がん以外に、子宮体がん、卵巣がん前立腺がん、精巣がんでも、乳・乳製品の摂取が、がん発生率において最も重要であることがわかりました。つまり牛乳をよく飲む人は、あまり飲まない人と比べ、がんのリスクが高くなる恐れがあると考えられるのです。

骨粗鬆症の原因になる
スウェーデンで行われた研究によれば、牛乳を飲む量が多い人ほど、少ない人に比べて骨折しやすいことが分かりました。骨を丈夫にするカルシウムを摂っているはずなのに、なぜでしょうか。原因はカルシウムではなく、タンパク質です。

牛乳には、動物性タンパク質が豊富に含まれているため、飲みすぎるとタンパク質の過剰摂取を起こします。タンパク質には、カルシウムの排出を促す作用があるので、牛乳を大量に飲むと、かえってカルシウムが不足し、骨粗鬆症につながる恐れがあるのです。

視力低下や白内障の原因になる
牛乳をたくさん飲むと視力が低下する、白内障の原因になるなど、目に関係する調査結果が、国内外から報告されています。

牛乳の摂取が目に影響するメカニズムとしては、牛乳に含まれる乳糖が分解されると発生する「ガラクトース」という糖が、目のピント調節機能などを担う「水晶体」に、蓄積していくためだという仮説があります。


牛乳が子供に与える主な影響について
牛乳を飲む際に、とくに子供にとって心配なことがニつあります。

虫歯の原因になる
牛乳を飲むことで、虫歯になる子供が多いといわれます。牛乳に含まれる糖分がその原因です。

虫歯は、虫歯菌が糖分を分解して酸を作り、歯を溶かしてしまうことで発生します。日中は唾液によって、酸は徐々に中和されますが、歯磨き後の夜寝る前に牛乳を飲んだりすると、睡眠中は唾液分泌が少ないため、中和が遅れて虫歯ができやすい環境になってしまいます。

歯磨きを完璧にすることは難しいことが多く、柔らかい乳歯が生えている幼少期は、牛乳が歯の健康に影響しやすいと考えられます。

アレルギーの原因になる
全年齢のアレルギー原因食物の割合において、鶏卵(約38%)に次いで2番目に多いのが牛乳(約16%)です。0~3歳でみると、牛乳は20%を超えていて、乳幼児期に多くみられるアレルギーといえます。

牛乳アレルギーの原因は、牛乳に含まれるタンパク質「カゼイン」によるものといわれています。カゼインを異物とみなし、体内の「IgE(アイジーイー)抗体」というタンパク質が反応してしまい、アレルギー症状が出ます。

鶏卵アレルギーを引き起こすタンパク質は、加熱で壊れやすい構造をしているため、アレルギーを持っていても、加熱した卵なら食べられるというケースも多いです。しかし、カゼインは加熱しても壊れにくいので、牛乳アレルギーは加工食品においても、症状が出やすいとされます。


牛乳は健康によいか悪いかはっきりしていない
結局のところ、牛乳が健康によいのか悪いのか、専門家の意見は分かれていて、結論は出ていないことが現状です。世界中であらゆる調査、研究が行われ、支持する説の信憑性を高める努力や、その他の説の矛盾点の指摘がされていますが、どれも可能性の域を出ていないようです。

摂取量についても、1日にコップ1~2杯が適量とする人もいれば、たくさん飲めばよいという人、一滴も飲むべきではないと主張する人まで、さまざまです。できるだけ多くの情報に触れて、自分でも考えてみることが大切です。


牛乳は食事のバランスを考え適量を飲むことが大事
ほとんどの説で共通していることは、「牛乳の飲みすぎはNG」ということ。たとえどんなに健康によいとされる食品でも、摂りすぎは害になる恐れがあります。さまざまなリスクを避けるためにも、偏った食生活にならないように気を付けていきましょう。

『2016年01月14日(Thu) 繰り返される牛乳有害説の根拠は… 』 http://d.hatena.ne.jp/nakamoto_h/20160114