一日一言「実が入ると稲はうつむく」
九月四日 実が入ると稲はうつむく
人は、自分のしてきたことは立派に見え、自分が経験した苦しみは大きく思うものである。これは他のことを何も知らないためで、他人の仕事をけなす者も、自分が仕事をしたことのない者のくせである。実際に成功した人は自分の手柄を人には言わず、人が苦心したことをほめるものだ。人間はたとえ出世したとしてもうぬぼれたり、のしあがってはならない。
物事の目に立つことは悪しきぞや
上手といふは音も香もなし実が入ると稲はうつむく人は身が
重うなる程のしあがるなり
古人に曰く、「実るほど、頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」と。
器の大きな人間ほど腰が低いものであるし、小さな人間ほど自分を大きく見せたがるものである。
(稲垣足穂が"垂穂"でなく"足穂"なのは、頭を垂れてばかりの人生は嫌だから、というのは蛇足である)
『2013年05月18日(Sat) noblesse oblige』 http://d.hatena.ne.jp/nakamoto_h/20130518