NAKAMOTO PERSONAL

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WGIP

「【解答乱麻】『反日日本人』がなぜこんなに多いのか カギは米国産『WGIP』にあり 麗澤大大学院特任教授・高橋史朗」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/column/news/180829/clm1808290005-n1.html

 日本の名誉と信頼を損ねる「反日日本人」がわが国には、なぜこんなに多いのか。

 1980年代から90年代にかけて国際問題化した教科書問題、靖国神社参拝問題、慰安婦問題のいずれも、自虐史観にとらわれた「反日日本人」が国際的に火を付け、マッチポンプ式に日本に持ち込んで騒ぎ立てた点が共通している。

 近年のユネスコ(国連教育科学文化機関)の「世界の記憶」登録申請をめぐる問題も同じである。中国が「世界の記憶」に追加申請した「戦犯日本兵千人の供述書」は、事実を無視して日本の残虐さを強調する「南京大虐殺プロパガンダ」の中心的役割を果たしている。

 「日本軍『慰安婦の声』」申請文書の参考文献の多くを左派系の日本人研究者が占め、理論的にも史料的にも後押ししている実態が浮き彫りになった。

 韓国の「ナヌムの家」に展示されている写真の大半も日本の研究者らが提供したものであることが明示されている。

 終戦後、占領軍は占領政策を継承し、拡大再生産するために、文芸評論家の江藤淳の言う「黙契(暗黙の裡(うち)に気持ちが合ってできた約束)関係」を「反日日本人」と結び、「内的自己崩壊」の土台を築いた後に、占領を解除した。

 日本人に罪の意識を植え付けた「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」を陣頭指揮したブラッドフォード・スミスは1942年の論文「日本-美と獣」(コミンテルンの外郭団体の機関紙『アメレイシア』4月号)で、日本人の二面性(美しい心を持ちながら、「南京大虐殺」をしたという)が「敵の本質」であるとして、次の一文で締めくくっている。

 「今は世を忍んでいる自由主義的な指導者たちに、過去の原始的な怪獣が決して再び台頭しないよう建設する機会を保障するため、私たちに何ができるであろうか」。「本性に根差す軍国主義」という日本国民の伝統精神に対する誤解がWGIPにつながった。

 GHQ(連合国軍総司令部)月報によれば「占領軍が東京入りした時、日本人には戦争贖罪(しょくざい)意識は全くなく、兵士の犯した残虐行為を知らず、道徳的過失の感情はなかった」。それ故にWGIPが策定され、その中核に「南京大虐殺プロパガンダ」が位置付けられたのである。

 1945年7月に作成された対日心理作戦報告によれば、占領軍に友好的な「自由主義者」として、野坂参三、鹿地亘らの共産主義者を挙げて活用した。

 マッカーサーの政治顧問付補佐官であったエマーソンの米上院での証言によれば、野坂らの提唱で設立された日本人民解放連盟の中国での日本兵捕虜洗脳教育を対日心理戦に利用できると確信し、WGIPのモデルとなった。

 エマーソンは「日本国内の戦争反対分子を励まし、内部崩壊を早める」よう提言し実行されたが、同証言で「共産主義の目的についての理解がなかった」と弁明している。

 日米合作の太平洋戦争史観とコミンテルン史観との奇妙な癒着が戦後の「反日歴史教育の土壌となり、戦後の「反日日本人」のルーツ、温床となった。

 その成果が80~90年代の「歴史認識問題」を生み出し、今日の「世界の記憶」への登録申請につながったといえる。

 戦後73年を経た今日、「軍国主義」とは明確に区別すべきわが国本来の国民精神を取り戻し、「反日日本人」とも真摯(しんし)に対話しつつ、WGIP後遺症からの脱却を目指す必要があろう。