「休日のパラドクス」を超えて
パパ、かく語りき。
「いったい何を始めたの、パパは?」
「脱皮だ!これまでの締りのない、だらけた生活からのな。」
「脱皮!?」
「そうだ。私は今まで朝起きると顔を洗って朝食を食べる。昼になると昼ごはんを食べ、昼寝をして夕方になると晩ごはんを食べ、夜は眠る。そしてまた朝が来てまた起きてまた顔を洗ってまた朝ごはんを食べ.....」
「それ、“規則正しい生活”と言うんじゃないの?」
「いぃや、“うんざりするほど変わり映えしない刺激のない生活”と言うんだ。」
── (『寂しそうなパパ』)
「毎日同じことばかりしてると、あっという間に人は老けていく。」(TABI LABO)
→ https://tabi-labo.com/287091/awake-why-time-goes-faster
2017年が過ぎ去るのって、早すぎたと思うんです。
四季の実感も十分にないまま、流れるように気がついたら次のお正月にたどり着いていました。年を重ねるにつれて、1日や1週間だけでなく、1年が飛ぶように過ぎていくような気がしてならない。いったい、どうして?
『Elite Daily』のライターCaroline Burkeさんは、科学的な視点から、年を取る度に時間経過が速く感じる理由を説明しています。
この感情の正体は、「休日のパラドクス」
大人になるにつれて時間をはやく感じるという感覚は、科学的にも実証されています。ミュンヘンのLudwig Maximilian大学で行われた2005年の調査結果がScientific Americanに掲載されています。
その調査は、14歳から94歳までを対象に行われました。1日、または1週間というスケジュールを、どれくらいの速度で感じているかというアンケートを実施した結果、世代によって結果に大きな差が生まれたのです。
若い人は時間の経過を比較的ゆっくり感じていて、40歳以上になると、著しくそのスピードが速くなる傾向にありました。
この現象が起きる要因のひとつに、「休日のパラドクス」と呼ばれるものがあります。
人の心は新しい経験を記憶に取り込むために、親しんだものに対しては感情の動きが鈍くなる傾向にあるのです。若い間は、新しい経験や、人間関係、知的な課題に出会うことも多くありますが、年を重ねるにつれてその機会は少なくなります。
要するに、心は日常に鈍感になっていくだけで、肝心の新しい刺激はやってこない状態が増えるのです。
当然、20代よりも50代の方が日々の生活がルーティーンになりやすく、時間の流れをはやく感じるでしょう。
“濃い1日”を過ごすために、生活を見直してみる。
「休日のパラドクス」に陥って、飛ぶように過ぎていく毎日を受け入れることを、悲しいと思う人もいるでしょう。解決策はただひとつ、日々に新しい刺激を取り入れることです。
「自分はもういい年だし」と、年齢を理由に、何か新しいことを始めるのを諦めてはいけません。学習をやめる必要もありません。積極的に、新しいものに出会って、新しい人間関係をつくっていきましょう。
そうすることで、感じる時の流れは以前より遅くなるはず。
あなたの日々は、たくさんの機会を秘めています。生きている限り、すべての時間はあなたのためだけにあるもの。
SNSをスクロールする代わりに、毎日5分間瞑想に励んだり、友達と会話をしましょう。時間をどのように使うかは、即ち、「どのように生きるのか」なのです。
あなたが何歳であろうと、日々を新しい刺激に満ちたものに変えることはできるはず。「何も考えずに生きること」ほど、怖いものはありません。
(大危機への憧れを静めて、細やかで優しい穏やかさで心を満たしてみたんだ。しかし、状況は、ちっとも好転しなかった。こんなことをしていたら、ニョロニョロたちに、ごく普通のベランダ・パパと思われてしまうかも・・・・・・)
パパは、気が気ではありませんでした。
── (『ムーミン谷の仲間たち』)
- 作者: トーベ・ヤンソン,ユッカ・パルッキネン,Tove Jansson,渡部翠
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