安吾、幻の小説『復員』
「川端康成と坂口安吾の埋もれた小説 『新潮』4月号に掲載」(産経新聞)
→ http://www.sankei.com/life/news/180306/lif1803060027-n1.html
新潮社は6日、かつて新聞で発表された作家、川端康成(1899~1972年)と坂口安吾(06~55年)の短編小説を7日発売の文芸誌「新潮」4月号に掲載することを明らかにした。いずれも単行本や全集には未収録で埋もれた形となっていたが、最近になって専門家が確認した。
川端の作品は「名月の病」。代表作「伊豆の踊子」と同じ26年に日刊紙で発表した。夫婦が湯宿を訪ねると、少女が温泉に映った月を食べ亡くなるという内容。中国の故事に材を採ったとみられるという。
一方、安吾の作品は「復員」というタイトルで、46年に朝日新聞が掲載した。南方から復員後、戦死したことにされていた男の物語。将来を約束した女性を訪ねると、既に結婚し赤ん坊を生んでいたが、男はどこか温かい気持ちになって帰ったというエピソードだ。
「川端・安吾に『幻の小説』 新聞掲載後、本にならず」(朝日新聞)
→ https://www.asahi.com/articles/ASL337G8ML33UCVL00D.html
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2018/03/07
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彼はこんな変な氣持ちで赤ン坊を眺めたことはない。お前が生きて帰らなくとも人間はかうして生まれてくるぜと言つてゐるやうに見える。けれども女の間の悪そうな顔で、彼は始めてほのあたゝかいものを受けとめたやうな氣がして、満足して帰つてきた。