一日一言「慈眼慈心」
三月二日 慈眼慈心
身分の高い低いを問わず、どんな人でもその心の内を察すると、かわいそうと思うことがある。自分の才能や家柄、地位、財産を得意になっている人も流行の女性歌手も、人の車に乗る旦那も、またその車を引く人も、みんなそれぞれ身の上を問いただしてみると、誰一人として悩みのない者はない。
慈悲の目に憎しと思ふ人はなし
科(とが)ある身こそ猶哀れなれ
漱石先生に曰く、
のんきと見える人々も、心の底をたたいてみると、どこか悲しい音がする。
- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1990/04/16
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