NAKAMOTO PERSONAL

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「左傾」強める歴史教科書

「【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】『左傾』強める歴史教科書『ゆとり教育』『左翼史観教育』に戻ることは許されない」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/politics/news/180212/plt1802120013-n1.html

 平昌五輪で、韓国が北朝鮮の攻勢に翻弄されている。だが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領も秘書室長(官房長官)の任鍾●(=析の下に日)(イム・ジョンソク)氏もまんざらではない表情なのは、韓国より北朝鮮の方がより善く正しい存在だと考えているからか。そんな彼らが政権を取り得たのは年来の北朝鮮による情報工作の結果であろう。

 韓国の土台は明らかに反韓国的教育によって蝕(むしば)まれてきた。わが国の教育もいま、再び危うい局面にある。事実を曲げて日本の歴史を非難する教科書が少なくない。教科書の偏向を是正することなしには、わが国の土台も蝕まれ、中韓が仕掛ける歴史戦には未来永劫(えいごう)勝てないだろう。

 中韓両国は今年、戦時中の徴用工問題で対日攻勢を強めるだろう。同問題をわが国の教科書会社は、東京書籍、実教出版清水書院、山川出版、第一学習社などが「強制連行」だと記述している。

 しかし、徴用工は強制連行ではない。徴用工に関わった日本人や、徴用工として渡日した朝鮮人が残した著作の数々は教科書の記述とは全くの別世界を描いている。

 『朝鮮總督府官吏 最後の証言』(桜の花出版)で、当時を証言した西川清氏は江原道(カンウォンド)の朝鮮人知事の下で内務課長などを務めた。私は氏に直接話を聞いたが、氏は徴用は行政府による説得と納得の募集であり、納得しない人は徴用に応じなかった、決して強要ではなかったと語った。

 鄭忠海(チョンチュンヘ)氏は『朝鮮人徴用工の手記』(河合出版)で、寝具から食事まで、手厚く準備されていたと語っている。

 学校ではこうした事実を子供たちに教え、中韓の主張ではなく、事実に基づいて日本人として考える力を養ってやるべきだ。

 だが、日本の教育現場は逆方向に進んでいる。2月の日教組の教育研究全国集会では中韓反日歴史教育に歩調を合わせるかのような実践例が報告された。平和教育として、昭和6年の満州事変から大東亜戦争終結までを「十五年戦争」として小学生に教えているという。「十五年戦争」は、日本がずっと「侵略戦争」を続けていたという強い否定的な意味を含んでいる。そのこと自体、誤りで、小学生に教えるのは不適切だ。

 郷土愛を育てるために郷土の英雄について教えるのは、「現状肯定の危険性」につながり、「社会の矛盾や格差、搾取、支配者の狙い」に注目させるべきだとも指摘された。

 思い出すのは、聖徳太子の名前を「厩戸王(うまやどのおう)」に変えるという、昨年の文部科学省の発表である。案は批判を受けて挫折したが、歴史上の偉人を削除する方針はその後も続いている。拓殖大学客員教授藤岡信勝氏は、背景に日本学術会議史学委員会高校歴史教育分科会などと連携する「高大連携歴史教育研究会」があり、文科省も同調していると喝破する。

 高大連携歴史教育研究会は昨年10月、高校の歴史教育に登場する歴史用語は3400~3800ほどもあり多すぎるとして、これを2000~2500に、約40%減らす案を発表した。

 子供たちが覚えなければならない内容を減らし、考えさせる学習へと方向転換するという理屈だ。だがそれは、教える量を減らして子供たちに自主的に考えさせるとした、あの悪名高いゆとり教育への逆戻りである。また失敗して日本の子供たちの知力低下に終わるのは間違いない。

 加えて「多すぎる歴史用語」を減らすというが、その基準は日本否定のイデオロギーを反映している。教科書から抹殺する候補として吉田松陰坂本龍馬高杉晋作らの名前が挙げられているが、これは国難を乗り切った明治維新とその時代を命がけで走り抜いた英雄たちを全く評価しないということだ。明治以降のわが国の歩みの否定が膿(うみ)のように染み込んでいる。徴用工を強制連行と決めつける先述の記述もその具体例だ。

 日本で進行する反日教育とは対照的に、中国も韓国も自国の偉大さを強調する歴史教育を推進中だ。「習近平思想」は指導思想として中国の憲法に書き込まれ、中国共産党は完璧な存在と位置づけられた。

 毛沢東の一大失政である文化大革命は歴史教科書から削除され、日本人257人を虐殺した悪名高い通州事件の跡地は痕跡の全てが消されている。中国人の残虐行為の証拠は消し去られ、日本国を悪役に仕立てる新たな歴史物語が作られる。「南京大虐殺、30万人の犠牲」「慰安婦は40万人が強制連行、30万人が虐殺された」に続いて、731部隊(旧日本軍の関東軍防疫給水部)は中国人30万人を殺害したとする研究論文も報じられ始めた。

 韓国では文大統領が朴槿恵(パク・クネ)前大統領の定めた韓国を前向きに評価する国定教科書を廃止し、親北朝鮮路線を歩んでいる。

 反日の基盤で結ばれている中韓の歴史戦には終わりがないだろう。中国は各種の「30万人虐殺説」を唱え続け、文氏は慰安婦問題を蒸し返し、徴用工問題で攻めてくるだろう。

 日本の若い世代にきちんとした歴史教育を施さなければ、日本を貶(おとし)めることで自らを道徳的高位に置こうとする中韓の主張に、彼らは太刀打ちできない。安倍晋三政権の下で以前のゆとり教育に戻ることも、左翼史観の教育に戻ることも許されない。教科書と文部行政を厳しく監視すべきである。

頼るな、備えよ――論戦2017

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