NAKAMOTO PERSONAL

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スーチー批判では解決しない

今日の『産経抄』より。
「【産経抄】スーチー批判では解決しない 10月2日」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/column/news/171002/clm1710020003-n1.html

「サンケイよ、お前もかと、がっかりしております」。東京都世田谷区に住む河村俊郎さん(93)から、お叱りの手紙をいただいた。先月、ミャンマーイスラム少数民族ロヒンギャ族について書いたコラムに対してである。

 河村さんは戦時中、学徒兵に志願して昭和17年5月に現在のベトナムに上陸した。以後2年間、南方軍総司令部に所属して、ビルマ(現ミャンマー)諸民族の情報収集活動に携わった。戦後もロヒンギャ族が多く住む西部ラカイン州を含めて12回も各地を訪れている。

 河村さんの目には、隣国バングラデシュの農民が侵入して、ビルマ人と土地争いをしているように映った。ミャンマー政府が、ロヒンギャ族を迫害、差別していると非難するのは、基本を見ない一方的な見方だというのだ。

 ロヒンギャ問題は複雑である。ビルマ近現代史が専門の根本敬(けい)上智大学教授によると、戦時中ラカインで、日本軍により武装化された仏教徒と、英国軍により武装化されたイスラム教徒が殺し合った経緯もある。

 その根本さんが先日、僚紙「フジサンケイビジネスアイ」で、ロヒンギャ問題をめぐってアウン・サン・スー・チー氏を批判する報道に疑問を呈していた。スー・チー氏は実質政権トップといっても、ロヒンギャ問題を解決する法的権限をもっていない。憲法が軍によるコントロールを認めているからだ。加えて世論の大半は反ロヒンギャである。

 もっとも、氏が発足させた国際的な諮問委員会は最近、3世代続けて国内に住むロヒンギャに国籍を与えるとの答申を出している。逆風のなか、解決への努力は続けている。ノーベル平和賞を取り消せなどと、スー・チーたたきの声に同調した勉強不足を恥じる。

ナフ川の向こうに―バングラデシュで生き抜くロヒンギャ民族

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