NAKAMOTO PERSONAL

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「危険なカルト集団」の見極め方

「『危険なカルト集団』の見極め方」(ライフハッカー
 → https://www.lifehacker.jp/2017/05/170527_identify_dangerous_cults.html

何食わぬ顔で、新入社員が「インディーズのロックバンドでベース弾きません?」と誘ってきたとします。もしくは友だちの友だちが「無料のヴィーガン(完全菜食)のブランチを食べない?」と言ってきたり、義母が「人生を変えるような在宅ビジネスのチャンスがあるの」と言ってきたりするかもしれません。そんな、わけの分からないオファーを受けると、終いには死んだ魚みたいな目をして、燃え盛る五芒星の回りを、血の償いをするために踊ることになりかねません。そんな人生は誰も望んでいないと思います。

カルトというと、テキサス州で建物に籠城した末に炎上したブランチ・ダビディアンや、ジョーンズタウンで集団自殺をした人民寺院のような、おかしな宗教の一派や終末論的なシナリオを思い描くのではないでしょうか。しかし、宗教や奇怪なものばかりではありません。言葉の定義を知りたいのであれば、同じような考えの集団はカルトとみなされる可能性があります。

カルト専門家のPaul Morantzはこのように説明します。「民主党共和党もカルトです。私は、全員が同じ色の服を着て、毎週日曜に儀式のために集まるカルトにいます。それは南カリフォルニア大学同窓会といいます」。

Morantzは、無害な読書クラブと終末論的な死のカルトの違いがわかる専門家です。ESTやSynanonや人民寺院のような過激派グループと、1970年代から法廷で争ってきました。カルトというのは魅惑的ですが、彼らの目的がわかれば、危険なものを見極めて遠ざけることができます。

Morantzは「ある人が、聖書研究グループを装っている危険なカルト集団に行ったら、その人はそこでどのようにすれば洗脳できるかを、その集団に教えてもらいました。その人は大丈夫だと思います。」と言っていました。


代表者を見る

カルトは強力な指導者を中心に形成されるので、代表者の動機や性格をしっかりと観察してください。Morantzや他のカルト専門家によると、支配欲の強いカルトの指導者は、ほとんど同じような性質を持っています。

  • 自己愛性人格

危険なカルトの指導者は大抵、自分の世界に対する壮大な観念を持っています。

  • 他人の心を読む

チャールズ・マンソンのような男は、パーティーなどで自分が操れそうな人間を見分ける能力がありました。単にそういう性質を持っていたようです。カルトの指導者は、人の弱みを見抜き、そこに付け込む能力があります」とMorantzは言っています。

  • 特別な力があると主張する

グループの指導者が、自分は他の人よりも賢く、純粋で、聖人のような人間だと言っていたら、そこに入るのは考え直した方がいいです。

  • 怒りで引きつける

危険なカルトの指導者は、極端に愛情深く、魅力的で、優しい反面、何の前触れもなく怒ったり、罵倒したりすることがあります。このような気まぐれな表現によって、相手のバランスを崩し続けます。


洗脳の兆候を探す

人心掌握の細かい方法はカルトによって違いますが、大まかなところはほとんど変わりません。大学に入って、新しい友だちが正義感を振りかざしながら次のようなテクニックを使っていたら、こっそり寮を抜け出して、家族に電話しましょう。

  • 孤立

家族や友だちから離し、情緒面で誰かを必要とする時は強制的にカルトの人間だけを頼らせます。これは多くのカルトが共同生活を基本としている理由です。(カルトの人たちがつまらない理由でもあります)

行動における社会規範の力を見くびってはいけません。今、きちんとパンツを履いていることも、周囲にそうすることを期待されているからに他なりません。しかし、意識的に同調圧力に操られると、貯金をすべてあげてしまったり、知らない人と結婚したり、ひどいロック・オペラを聞いたりします。

  • 告白

悪名高い危険なカルトは、過去に犯した罪を公に告白させ、その告白を利用することもあります。そのようなカルト集団の中には、メンバーの過去を脅迫するために念入りな資料を保管していることもあります。

カルトは、食べる時間、誰と一緒に寝るか、毎日いつ何をするかを指示することもよくあります。指示に従うよう説得し、馬鹿げたことをやっていると疑問に思う余地を与えません。

  • 睡眠を奪う

睡眠や休息不足にさせるだけで、驚くほど効果的に思考をコントロールできます。薬物リハビリテーション・カルトSynanonの指導者チャールズ・デデリックは「人を長時間眠らせないでいると、どんなことでも信じさせられる」と説明しています。

  • 言語統制

多くのカルト集団は、孤立させるために一般的な言葉を特別な用語に置き換えたり、複雑で抽象的なものを説明する新しい言葉をつくります。そうすることで、外部の人間に説明するのに疲れ、会話がつまらなくなります。

  • 追放すると脅迫

全体主義的な集団は、メンバーを留めさせるために追放すると脅迫することがあります。一度、外部の世界は悪魔のような恐ろしいものだと信じ込ませることができたら、ここから出すぞと脅せば、規律を守らせるのは簡単です。


質問をする(カルトは嫌がります)

危険なカルト集団の一番わかりやすい特徴は、おそらく疑われることで明らかになります。ほとんどの危険なカルト集団は、メンバーにカルト集団やその集団の信条について質問をさせません。したがって、危険なカルトをあぶり出す一番簡単な方法は、厳しい質問をして、それにどのように答えるかを書き留めることかもしれません。自問自答してみるだけでもいいです。

Morantzは、60年代当時のことをこのように語っています。

60年代のことを振り返ると、LSDをやれという仲間の同調圧力にかなりさらされていました。それで、私はティモシー・リアリー(※)の元に行き、LSDとはどういうものなのかという科学的な説明を求めたかったのですが…大量のスローガンに、みんなで拍手喝采していました。

私は手を挙げて「プロパガンダはやめて、ただLSDとは何なのか、どういう影響があるのかを教えてもらえますか?」と言いたかったのですが、そんなことをしたら暴徒が私に襲いかかってくるのがわかっていました。それで、私は、最も危険な生きている人間を見たと思い、そっとその場を離れました。


ハーバード大学教授(心理学)、LSDなどの幻覚剤による人格変容について研究していた。

Morantzが残した最後の言葉をご紹介しましょう。その集団が危険なカルトかどうかを判断する、彼の個人的な確認方法です。「ハリウッドスターが何人いるかを数え、5人以上いたら即刻抜けなさい」。

「カルト宗教」取材したらこうだった (宝島社新書)

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「カルト」を問い直す―信教の自由というリスク (中公新書ラクレ)

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