NAKAMOTO PERSONAL

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一日一言「伊達政宗の座右の銘」

五月二十四日 伊達政宗座右の銘


 伊達政宗は寛永十三年(西暦一六三六年)の今日に、七十歳でこの世を去ったが、座右の銘にいう。


  仁に過れば弱くなる。
  義に過れば固く成る。
  礼に過れば諂となる。(へつらい)
  智に過れば嘘をつく。
  信に過れば損をする。

── 新渡戸稲造(『一日一言』)


漱石先生が言うには、、、

 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
 越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容(くつろげ)て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降(くだ)る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。

── 夏目漱石『草枕』

草枕 (新潮文庫)

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