「勅語読みの勅語知らず」
「【風を読む】幼稚園の行き過ぎ指導で『教育勅語』が迷惑している 論説委員長・石井聡」(産経新聞)
→ http://www.sankei.com/column/news/170307/clm1703070004-n1.html
教育勅語に触れるのが悪いような議論にすり替わっている。問題があるのは不自然な国有地売却なのだ。
大阪の「森友学園」が小学校設立に国有地を格安で払い下げてもらった件で、野党が安倍晋三首相への攻撃を続けている。
首相は設立者についてよく知らないという。だとすれば、夫人が「名誉校長」の称号を受け、批判を浴びるまで辞めなかったのは不用心すぎる。
「安倍晋三記念小学校」の名目で、勝手に寄付金集めが行われていたなら、詐欺行為だと、もっと怒るべきだ。
だが、それらも本質論ではない。実勢価格が10億円以上とされる土地が、廃棄物処理などの名目で大幅に値引きされ、タダ同然で資力の乏しい学校経営者の手に委ねられた。外形的事実について、納得のいく説明がいまだに行われていない。
その一点を追及しきれるかどうかが焦点だが、野党は首相や周辺が不正な土地取引に関与したように思わせる「印象操作」に力を入れる。ついでに、子供に教育勅語を教えていたのはけしからんとなる。勅語にとっては、とんだはた迷惑である。
園児らに「アベ首相がんばれ」と叫ばせ、軍歌も歌わせるなど行きすぎた指導が問題視された。それをとらえ、教育勅語に言及すること自体が異常だとする風潮が再燃している。
教育勅語は現行憲法の国民主権に反し、軍国主義を生んだ戦前の教育思想を支えたなどとして、占領下の昭和23年に廃止された。だが、親孝行や友愛など12の徳目と呼ばれる内容自体は、およそ軍国主義とは無縁で道徳教育の肝となるものだ。
反対論は天皇中心の国体思想が据えられていると指摘する。皇室と日本の歴史のくだりは国柄を示しており、国民主権を否定する性格ではなかろう。国柄や建国の理念について、どうしても認めたくないのだろうか。
園児らの様子を視察したこともある中山成彬元文部科学相が、ツイッターで発した感想が的確だった。
「経営者自身が勅語の精神を理解していないようだ」
「論語読みの論語知らず」ならぬ「勅語読みの勅語知らず」。
勅語を理解していないのは籠池氏である。
12の徳目を実践すれば何も問題は起こらなかったはずである。
- 父母ニ孝ニ(【孝行】-親に孝養を尽くしましょう)
- 兄弟ニ友ニ(【友愛】-兄弟・姉妹は仲良くしましょう)
- 夫婦相和シ(【夫婦の和】-夫婦は互いに分を守り仲睦まじくしましょう)
- 朋友相信ジ(【朋友の信】-友だちはお互いに信じ合いましょう)
- 恭倹己レヲ持シ(【謙遜】-自分の言動を慎みましょう)
- 博愛衆ニ及ボシ(【博愛】-広く全ての人に慈愛の手を差し伸べましょう)
- 学ヲ修メ業ヲ習ヒ(【修業習学】-勉学に励み職業を身につけましょう)
- 以テ智能ヲ啓発シ(【知能啓発】-知識を養い才能を伸ばしましょう)
- 徳器ヲ成就シ(【徳器成就】-人格の向上につとめましょう)
- 進デ公益ヲ広メ世務ヲ開キ(【公益世務】-広く世の人々や社会のためになる仕事に励みましょう)
- 常ニ国憲ヲ重ジ国法ニ遵ヒ(【遵法】-法律や規則を守り社会の秩序に従いましょう)
- 一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ(【義勇】-国に危機があったなら正しい勇気をもって国のため真心を尽くしましょう)
『教育勅語』(明治神宮) http://www.meijijingu.or.jp/about/3-4.html
『教育勅語を書いてみましょう』(明治神宮) http://www.meijijingu.or.jp/kyouikuchokugo/pc/
『教育勅語 特集ページ』(北海道神社庁) http://www.hokkaidojinjacho.jp/top.html
『教育勅語 原文PDF』(北海道神社庁)http://www.hokkaidojinjacho.jp/kchokugo.pdf (PDF)
そもそも教育勅語は、その徳目を誰かが新しく考え出したものではなく、昔から日本人の道徳規範であったものを、あらためて勅語の形にまとめたものであるから、これに違和感を持つ日本人はおらず、大いに歓迎されて、親も子供に暗記させていたのであった。それは憲法の方がよそよそしく、一般の人々には関係ないものと考えられていたのとは対照的であったといえよう。それがなくなるということは、日本人の意識から徳目がなくなるということに連なるのだ。
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