NAKAMOTO PERSONAL

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アドラーの幸福論

「どうすれば人は幸せになれるのか?アドラー心理学が示す5つの教訓」(@DIME
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『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』は、職場やビジネス環境を改善させることだけを最終目的とした本ではない。どうすれば人は幸せになれるのかー。その答えを導き出すためには、自ら考え、自ら「生き方」を選択していく必要がある。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え 幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII


【幸せの法則1】今の自分を肯定し、自分の過去を否定しない

「決断を先延ばす人は、いつまでも悩み続けることになります。進路に悩んだ時は『自分が役に立っているかどうか』を判断材料にしましょう」(岸見さん)


◎人は失敗を恐れて行動を制限してしまう

 アドラーは、すべての悩みは対人関係にあるという。ならば、悩みをなくす――幸せな生活を送るということは、他人に左右されてしまう可能性があるのではないか? しかし「そうではない」と岸見さんは言う。

「私は、奈良女子大学ギリシャ語を教えていましたが、その時のエピソードです。学生は皆、優秀でしたが、中に、授業中に指しても全く答えない学生がいました。なぜ何も答えないのか問うと、彼女はこう言ったのです。『もし答えて間違えたら、自分ができない学生だと思われる』。つまり失敗を恐れて、その場で固まっていたのです」

 岸見さんは、このエピソードから普遍的な命題を導き出す。人は、人からどう思われるかを恐れるあまり、行動の機会――成長するきっかけを逃しているのではないか。

「誰の中にも失敗を恐れる気持ちがあります。私はこの学生に、『失敗は当然』『間違ってくれたほうが、自分の教え方の問題点が明らかになる』と説明しました。すると彼女は、積極的に発言するようになり、みるみる上達。彼女は変わったのです」

 岸見さんは、「この学生がありのままの自分を受け入れたことで、自分を変えることができた」のだと言う。

「端的に言うと、?今の自分?を好きになることです。自分を肯定していない人は、自分の過去を否定して『過去にこんなことがあった』と言い訳を口にする。しかし実は、過去でさえ、?今の自分?次第です。"今"を肯定できない人が、過去に原因を求めてしまうのです」

"今の自分"を信じる――。

「私たちは、皆、共同体の一員なのです。だからといって他人に振り回されるのではなく、まず、自分から一歩を踏み出す。それが?変わる?ということです。会社を辞めたくなったとしても、まずはこの意識変革で乗り切れないか、トライしてみてください」

「人は誰しも、『"わたし"という物語の編纂者』です。今の自分に満足するかどうかで、過去の意味合いも変わってきます」と岸見さん。


【幸せの法則2】「仕事」「交友」「愛」の3つを、バランス良く満たしていく

アドラーいわく、人が直面せざるを得ない人生の課題(タスク)は、「仕事」「交友」「愛」の3つ。「ひとつに偏らないことがポイントです」(岸見さん)


◎どれだけ貢献したかで幸福度が決まる

 すべての悩みは対人関係の悩みであるとするならば、人間関係をすべて断ち切ってしまえば、悩みはなくなるのだろうか。

「それは違います。なぜなら、生きる喜びも、対人関係から生まれるものだからです。想像してみてください。地球にたったひとりで生きているとします。その人生に、喜びはあるでしょうか? 幸せとはほど遠いですよね」

 では、幸せのかたちとは?

アドラーは、人生には3つのタスク――直面せざるを得ない課題があると言っています。『仕事』『交友』『愛』の3つです。そしてこの3つのバランスと調和も大切です」

 これまで一貫して、仕事の関係を見てきたが、「交友」と「愛」とは何か?

「『交友の関係』で大事なことは、自分から先に信頼することです。それも無条件に信頼します」

 無条件に信頼するとは、具体的にどうすればいいのか。

「最も簡単な振る舞いは、打算や下心抜きで、『ありがとう』と声をかけることです。相手の貢献に感謝するのです」

 共同体の一員である私たちにとって、「誰かのためになっている」という意識は、大きなモチベーションだ。「ありがとう」と声をかけ合うことは、貢献を認め合うこと。信頼の交換なのだ。

 では「愛」は?

「これは最も難しいタスクでしょう。大前提としてまず、アドラーは『幸福とは貢献感である』と規定しています。つまり、誰かの役に立っていると意識した時に、人は自分の価値を実感するのです。では『愛』とは何でしょう? 私は、?私という主語を捨てること?だと考えます」

"私"を捨てる?

「人は、自分中心に物事をとらえています。損得勘定もそうでしょう。しかし自分に拘泥していては、幸せからは遠ざかります。?私?ではなく、"私たち"の幸せのために行動する。それが愛するということなのです」

 幸福な生き方とは、すべて自分で選び取ることができるものなのである。

「ボクは打たれ強い」「健康だ」……と自分で自分の価値を認め、アピールすることが大事。相手が自分に価値があると実感するためには、「ありがとう」の声かけを。


アドラー心理学的5つの教訓

一、 失敗を恐れず、積極的に行動しよう
一、 他人に振り回されず、自分から踏み出そう
一、 打算抜きで「ありがとう」と声をかけよう
一、「誰かの役に立っている」と意識しよう
一、"私"ではなく"私たち"の幸せのために行動

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

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幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII

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