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NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

兵は詭道なり

「『孫子の兵法』を日常生活に活用する方法」(ライフハッカー
 → http://www.lifehacker.jp/2016/11/161109_suntzu.html

孫子は古代中国における伝説的な軍略家で、有名な兵法書孫子』の著者でもあります。また、孫子は「ソフトパワー」のマスターであり、「機動戦」の父でもあります。孫子は、できるかぎり戦わず勝つこと、また、戦うなら最も楽に勝つことを良しとしました。
孫子は「戦においては、勝つ将軍はまず勝利を得て、それから戦を求める」と書いています。また、自軍の兵士に、「予期せぬルートを行軍し、敵の無防備なるところを攻めよ」と助言しています。さらに、「兵法とは水のようなものである。水は、自然の法則に従い、高いところを避け、低いところへ流れてゆく。戦においても、敵の強いところを避け、弱いところを攻めるようにする」と説いています。
孫子の教えは、具体的な目標を達成するための最も楽なやり方にフォーカスしていて、それは戦場をはるかに超えて生かすことができます。事業の拡大から、ダイエット、習慣づくりに至るまで、孫子のアプローチはさまざまな場面に活用することができます。
そこで、私たちの日常生活に孫子の兵法を活用する方法を解説します。


良い習慣をつくるという戦い

私たちは多くの場合、新しい習慣をつくる、大きな目標を達成する、ひいては「人生に勝つ」ことに力づくで取り組もうとします。悪い習慣、すなわち「敵」に真正面からぶつかって、敵の最も強い場所を攻撃しようとするのです。たとえば、次のようなことをしたことはありませんか。

  • 友人たちと頻繁に外食に出かけながら、厳格な食事制限を守ろうとする。
  • 騒がしい環境で原稿を書こうとする。
  • 家にお菓子やスイーツを大量に置きながら、健康的な食生活をしようとする。
  • テレビをつけながら宿題に取り組む。
  • ソーシャルメディアのアプリやゲームなど、気が散るものがたくさんインストールされたスマホを手に持ちながら、何かに集中しようとする。

そして、失敗したり、目標が達成できないと、「気持ちが足りなかった」とか意志が弱すぎたといって自分を責めるのです。しかし、多くの場合、失敗した原因は意志の弱さではなく、戦略のまずさです。
優れた指揮官は楽な戦闘に勝つことからはじめ、戦況を少しずつ有利なものにしていきます。敵軍が弱体化し、士気が低下するのを待って攻撃を仕掛けます。わざわざ敵が防御を固めている場所を攻めることから戦をはじめる理由があるでしょうか? 同じく、わざわざ困難な環境のなかで新しい習慣づくりをはじめる理由があるでしょうか?
孫子は、地形的に不利な状況で、自軍に攻撃を命じることは決してありませんでした。敵の一番強い地点を攻めることから戦闘をはじめることもありませんでした。同じように、私たちもやりやすいところから習慣を改善し、強みを育て、そこを拠点に、有利な陣形を整えながら、最難関の場所へと歩を進めるべきなのです。


孫子に学ぶ、習慣化のマスター

孫子の教えを習慣づくりに適用してみましょう。孫子の兵法を日常生活に応用した事例が以下の3つです。

  • 孫子の兵法:防御のない場所だけを攻めれば、攻撃はまちがいなく成功する。
  • 日常生活への適用:続けるのが簡単な習慣だけに取り組めば、習慣づくりはまちがいなく成功する。
  • 孫子の兵法:戦うべきときと、戦うべきではないときを知る者は勝つ。
  • 日常生活への適用:取り組むべき習慣と、今は取り組むべきでない習慣を知る者は、良い習慣をつくる。
  • 孫子の兵法:賢い将軍は,敵軍の士気が高いときは攻撃を避け,士気が低下し,故郷を思いはじめたころに、攻撃を仕掛ける。
  • 日常生活への適用:賢い人間は、悪い習慣が最も強く根付いている部分は避け、弱く、変えやすい習慣に攻撃を仕掛ける。


勝てる戦いをする

生活の改善には、意志力や労働倫理だけが重要なのではありません。戦略も重要です。意志力の欠如や変化への抵抗だと言われていることの多くが、不利な状況で良い習慣をつくろうとしている結果にすぎません。

  • 本をたくさん読みたいなら、ビデオゲームやテレビがある場所で読もうとしないことです。邪魔が入らない環境に移動してください。
  • 体に肉が付きすぎているなら、アスリート用のワークアウトプログラムにいきなり取り組んだりはしないことです。最終的にそこに到達するのはOKですが、最初から挑むべき戦いではありません。手に追えることからはじめてください。
  • あなたの目標を邪魔する人たちに囲まれているなら、場所を移すか、同じ志を持つ仲間を探しましょう。
  • 書く習慣をつくりたいなら、子どもたちが家にいて、家がカオスになる時間帯ではなく、もっと集中しやすい時間にトライしてください。抵抗が少ない時間を選んでください。

取り組みやすい環境で習慣づくりをしてください。環境を再定義してください。 有利な場所で戦いをしてください。
簡単そうに聞こえますが、よく自分を振り返ってみてください。わざわざ困難な状況で戦おうとはしていませんか? 簡単な戦いを見逃してはいませんか? そうではなく、まずは勝つ見込みの高い戦いをすることです。
習慣を改善する最も賢いやり方は、抵抗が最も少ない道を進むことです。勝てる戦いをしてください。


では、諸橋轍次中国古典名言事典』より、『孫子』。

・「兵は詭道(きどう)なり。」
戦争は、謀略を用い、敵を欺く道である。常道ではない。


・「兵は拙速を聞く。未だ巧みの久しきを睹(み)ず。」
戦いは、たとえ拙劣でも速決が大事である。いかに戦争巧者でも、長引いて成功したためしはない。


・「兵は勝ちを貴びて、久しき貴ばず。」
戦争で大事なのは勝つことである。だらだらと戦うことではない。


・「兵を用うるの法は、国を全うするを上と為し、国を破ること之れに次ぐ。」
戦争は敵国を滅亡させないで勝ちをおさめるのが最上である。敵国を破滅させてしまうのは、真に止むを得ない場合だけだ。


・「百戦百勝は、善の善なる者に非(あら)ず。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。」
戦えば必ず勝つということは、最上の用兵ではない。戦わずして敵を屈服させることこそ最善である。


・「上兵は謀を伐つ。其の次は交わりを伐つ。」
上手な戦法とは、敵の謀略を察して、これを破ることだ。これに次ぐ戦法は、当面の敵が交わっている国を離間させる、つまり孤立をねらうことだ。


・「彼を知り己を知れば、百戦殆(あや)うからず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし」
敵情を知り、同時にわが力をも知る場合は、戦いに敗れることはない。敵情を知らず、ただ自軍の実情だけ知って戦うとき、勝敗は半々である。敵情も知らず、自軍のことも知らずして戦う者は、戦いの度に敗亡の危険をともなう。


・「善く戦う者は勝つとは、勝ち易きに勝つ者なり。」
善く戦う者、即ち善戦する者は勝つ、という言葉があるが、それは、勝ち易い、必勝の見込みのある相手と戦って勝つことを言ったものである。これが真の勝ちで、一か八かで勝つのは本物ではない。勝つ見込みのない戦争をする者は必ず失敗に終わる。


・「戦いは、正を以て勝つ。奇正の変は、窮むるに勝(と)うべからず。」
合戦の場合は正々堂々の陣を張って戦い、奇襲を受けた場合には、ただちに応変の処置をとって、これに勝つべきものである。こうした奇正応変の道は複雑多様で、極め尽くせないほどである。


・「兵の形は水に象(かたど)る。水の行くは、高きを避けて下(ひく)きに趨(おもむ)く。兵の形は、実を避けて虚を撃つ。」
軍勢の動きは、水の流れに例えるべきだ。水は高所を避け低地を選ぶ。戦いもまた、相手の主力を避けて手薄の所を撃つべきである。


・「君命も受けざる所あり。」
戦陣の指揮者は、君主の命令であっても、受け付けないことがある。敵情によって応変の処置が必要だからである。


・「敵近くして静かなる者は、其の険(けん)を恃(たの)むなり。遠くして挑戦する者は、人の進まんことを欲するなり。」
近くにありながら、敵が静かで、動く気配がないときは、その地形の険阻(けんそ)を頼みとしているからである。また、遠いところにおりながら、しきりに戦いを挑むのは、こちらの進出を待ち設けている場合である。油断してはならない。


・「主は怒りを以て師を興すべからず、将は慍(いきどお)りを以て戦いを致すべからず。」
主君は、自分一個の怒りをもって、戦争を起こすことがあってはならない。大将は、敵に対する一時の憤慨の感情をもって、戦いにのぞんではいけない。いずれも大局を誤ることだ。

米陸軍戦略大学校テキスト 孫子とクラウゼヴィッツ

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孫子 (講談社学術文庫)

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「孫子」の読み方 (日経ビジネス人文庫)

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