NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

江戸から受け継いだ種

今日の『産経抄』より。
「【産経抄】4月24日」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/column/news/160424/clm1604240004-n1.html

 江戸期の著述家として名高い斎藤月岑(げっしん)が、『武江地動之記』という文書に書き留めている。〈江戸中の豪商…米穀金銀等を施し与ふる者多し〉。安政地震(1855年)の後、江戸の町でなされた救済活動である。

 震災の1カ月後には米の配給も行われ、延べ38万人が飢えをしのいだとの記録もある(『江戸の助け合い』つくばね舎)。町の豪商にとって被災した町民は「お客さま」、人々の暮らしが戻らねば商売も傾く。復旧の陣頭指揮を執ったのは自然の成り行きであろう。

 これらの救済や救護を「施行(せぎょう)」と呼んだ。いまは「ボランティア」というさわやかな言葉がある。一説によると、その語源となる単語が歴史に一歩を印(しる)したのは1600年という。「義勇兵」の意味で広まり、後に「志願者」や「篤志家」などの意味でも使われた。

 家屋が倒れ、橋が落ち、山が崩れた被災地は戦場と変わるまい。熊本地震は14日の前震から時間がたち、益城町熊本市などに多くのボランティアが駆けつけている。当面は救援物資の仕分けや避難所支援が中心という。余震が危ぶまれる中での作業に頭が下がる。

 東京・銀座にある熊本のアンテナショップは、地場産品を求める訪客で盛況と聞く。「ふるさと納税」を通じて被災地に寄付金を送る動きも目を引く。中越や東北に加え、新たな被災地をわが身の一部として胸を痛める人は多い。思いを寄せる。それも支援だろう。

 ボランティアには「自生してきた植物」の意味もあるという。自らの意思で被災地に赴き、汗を流し、雨露をしのぐ。すべてが自弁に支えられた行為には「自生」の言葉がよく似合う。江戸の昔から受け継いだ種を、一人一人が大事にしたい。美しい花実をつける日を祈りつつ。

「動画:買って熊本を支援、都内アンテナショップに平日も行列」(AFPBB News)
 → http://www.afpbb.com/articles/-/3084540
「買って被災地を応援…熊本のアンテナショップ『銀座熊本館』が長蛇の列! ネットの声『こういう支援の仕方もあるのか』」(Pouch)
 → http://youpouch.com/2016/04/19/351232/
「首都圏でも拡大 熊本ラーメンを食べて被災地支援です。」(FNN News)
 → http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00322537.html
「熊本地震に「ふるさと納税」で恩返し かつて豪雨被害の茨城県境町」(Huffington Post)
 → http://www.huffingtonpost.jp/2016/04/20/furusato-tax-sakaimachi_n_9745436.html