其疾如風、其徐如林、侵掠如火、如動如山
「武田信玄命日前に子ども剣士900人が野試合 甲府」(NHK NEWS WEB)
→ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160410/k10010473861000.html
戦国武将、武田信玄の命日を前に、およそ900人の子どもたちが参加する剣道の野試合が甲府市で行われました。
この野試合は武田信玄の命日の4月12日を前に、「信玄公祭り」の一環として甲府市剣道連盟が行いました。
甲府市の舞鶴城公園の広場には山梨県内の高校生以下の子ども、およそ900人が集まりました。
子どもたちは幼児から高校生まで年齢層ごとに試合に臨み、防具の面に赤や白の風船を付けた選手ら数十人から200人ほどが東西二手に分かれて向き合いました。そして、「合戦開始」の掛け声とともに一斉に駆け寄り、相手の風船を目がけて竹刀を振り下ろしていました。
会場には大勢の保護者が訪れ、写真を撮ったり、声援を送ったりしていました。試合の結果は武田信玄と上杉謙信が何度も戦いながら決着がつかなかった川中島の合戦にちなんで、引き分けとされました。
参加した小学6年生の女の子は「初めて参加しましたが、ふだんは1対っつ1で戦うので、みんなで試合ができて楽しかったです」と話していました。
今日は甲斐の虎、武田信玄の命日。元亀4年4月12日(1573年5月13日)
信玄といえば“風林火山”。
言うまでもなく『孫子』からの引用。クラゼヴィッツの『戦争論』と並び称される戦略書です。
「其の疾(はや)きこと風の如く、其の徐(しず)かなること林の如く、侵掠(しんりゃく)するは火の如く、動かざることは山の如し。」
「進攻にあたっては風のようにはやく、とどまれば林のように静かに、また敵地の侵掠を開始すれば、燃える火の勢いをもってし、守備するや山のように不動である。それが戦陣にある軍の態勢でなければならない。」(諸橋轍次『『中国古典名言事典』)
・「兵は詭道(きどう)なり。」
戦争は、謀略を用い、敵を欺く道である。常道ではない。
・「兵は拙速を聞く。未だ巧みの久しきを睹(み)ず。」
戦いは、たとえ拙劣でも速決が大事である。いかに戦争巧者でも、長引いて成功したためしはない。
・「兵は勝ちを貴びて、久しき貴ばず。」
戦争で大事なのは勝つことである。だらだらと戦うことではない。
・「兵を用うるの法は、国を全うするを上と為し、国を破ること之れに次ぐ。」
戦争は敵国を滅亡させないで勝ちをおさめるのが最上である。敵国を破滅させてしまうのは、真に止むを得ない場合だけだ。
・「百戦百勝は、善の善なる者に非(あら)ず。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。」
戦えば必ず勝つということは、最上の用兵ではない。戦わずして敵を屈服させることこそ最善である。
・「上兵は謀を伐つ。其の次は交わりを伐つ。」
上手な戦法とは、敵の謀略を察して、これを破ることだ。これに次ぐ戦法は、当面の敵が交わっている国を離間させる、つまり孤立をねらうことだ。
・「彼を知り己を知れば、百戦殆(あや)うからず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし」
敵情を知り、同時にわが力をも知る場合は、戦いに敗れることはない。敵情を知らず、ただ自軍の実情だけ知って戦うとき、勝敗は半々である。敵情も知らず、自軍のことも知らずして戦う者は、戦いの度に敗亡の危険をともなう。
・「善く戦う者は勝つとは、勝ち易きに勝つ者なり。」
善く戦う者、即ち善戦する者は勝つ、という言葉があるが、それは、勝ち易い、必勝の見込みのある相手と戦って勝つことを言ったものである。これが真の勝ちで、一か八かで勝つのは本物ではない。勝つ見込みのない戦争をする者は必ず失敗に終わる。
・「戦いは、正を以て勝つ。奇正の変は、窮むるに勝(と)うべからず。」
合戦の場合は正々堂々の陣を張って戦い、奇襲を受けた場合には、ただちに応変の処置をとって、これに勝つべきものである。こうした奇正応変の道は複雑多様で、極め尽くせないほどである。
・「兵の形は水に象(かたど)る。水の行くは、高きを避けて下(ひく)きに趨(おもむ)く。兵の形は、実を避けて虚を撃つ。」
軍勢の動きは、水の流れに例えるべきだ。水は高所を避け低地を選ぶ。戦いもまた、相手の主力を避けて手薄の所を撃つべきである。
・「君命も受けざる所あり。」
戦陣の指揮者は、君主の命令であっても、受け付けないことがある。敵情によって応変の処置が必要だからである。
・「敵近くして静かなる者は、其の険(けん)を恃(たの)むなり。遠くして挑戦する者は、人の進まんことを欲するなり。」
近くにありながら、敵が静かで、動く気配がないときは、その地形の険阻(けんそ)を頼みとしているからである。また、遠いところにおりながら、しきりに戦いを挑むのは、こちらの進出を待ち設けている場合である。油断してはならない。
・「主は怒りを以て師を興すべからず、将は慍(いきどお)りを以て戦いを致すべからず。」
主君は、自分一個の怒りをもって、戦争を起こすことがあってはならない。大将は、敵に対する一時の憤慨の感情をもって、戦いにのぞんではいけない。いずれも大局を誤ることだ。
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