菜の花忌
今日は菜の花忌。歴史とはなんでしょう、と聞かれるとき、
「それは、大きな世界です。かつて存在した何億という人生がそこにつめこまれている世界なのです。」
と答えることにしている。
私には、幸い、この世にたくさんのすばらしい友人がいる。
歴史の中にもいる。そこには、この世では求めがたいほどにすばらしい人たちがいて、私の日常を、はげましたり、なぐさめたりしてくれているのである。
平成8年(1996年)2月12日、司馬遼太郎 没。
「没後20年司馬遼太郎しのぶ 長崎菜の花忌」(読売新聞)
→ http://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20160211-OYTNT50092.html
「司馬遼太郎さん没後20年 記念館が来館者に菜の花をプレゼント」(産経新聞)
→ http://www.sankei.com/west/news/160212/wst1602120031-n1.html
「司馬遼太郎さん没後20年、佐野で「菜の花忌」 市ゆかりの作家、120人しのぶ」(下野新聞)
→ http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20160212/2232392
司馬遼太郎は、けっして読者を萎縮させない。逆に、やさしく励まして、元気づける。面白く、興じて、談笑をさそう。陽気で、活発な、心おどりを生む。人の世の、むつかしさ、を描きながら、意気を消失させないのである。ハッパをかける、のではなく、慰撫して、医(いや)す、のである。いや、単に、医す、と言ったのでは当をえない。心の病気にならぬよう、あらかじめの治療をほどこすのである。すなわち、精神の衛生学、である。病に至らぬための、日常不断の手当である。まだ一般的ではないが、未病(みびょう)、という言葉がある。病に至らぬための工夫と手当を指す。病におちいってからでは遅い。医学の極意は未病であろう。司馬遼太郎の述作は、精神の未病学、とも言えようか。司馬遼太郎の作品を読みうること、それは、現代人のおおいなる幸福である、と私は信じる。
── 谷沢永一 (『司馬遼太郎の贈りもの』)
『司馬遼太郎記念館』 http://www.shibazaidan.or.jp/
NHKスペシャル 2夜連続『司馬遼太郎思索紀行 この国のかたち 』
『第1集 “島国”ニッポンの叡智(えいち)』 http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160213
『第2集 “武士”700年の遺産』 http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160214
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/01/10
- メディア: 文庫
- 購入: 13人 クリック: 168回
- この商品を含むブログ (474件) を見る
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/10
- メディア: 文庫
- 購入: 6人 クリック: 47回
- この商品を含むブログ (92件) を見る
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1972/05
- メディア: 文庫
- 購入: 32人 クリック: 409回
- この商品を含むブログ (288件) を見る
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/04
- メディア: 文庫
- クリック: 9回
- この商品を含むブログ (41件) を見る
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1994/03/10
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 42回
- この商品を含むブログ (99件) を見る