NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

FAIR JAPAN

 我等は人生の大抵の問題は武士道を以て解決する、正直なる事、高潔なる事、寛大なる事、約束を守る事、借金せざる事、逃げる敵を遂わざる事、人の窮境に陥るを見て喜ばざる事、是等の事に就て基督教を煩わすの必要はない、我等は祖先伝来の武士道に依り是等の問題を解決して誤らないのである。

── 内村鑑三(『武士道と基督教』)


「“武士道精神”が根底に 日本人がドーピングしない理由」(NHKニュース)
 → http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160204/k10010397731000.html

日本のメダリストを対象にしたドーピングに関する初めての調査で、多くの選手がドーピングをしない理由として、「武士道」の精神を挙げていることが分かりました。
ロシア陸上界を始め世界でドーピングが後を絶たないなか、日本はこれまでにオリンピックで1人も違反者を出していません。こうしたなか、早稲田大学大学院の研究グループの日比野幹生さんと間野義之教授などは、ロンドンオリンピックまでの3大会の日本のメダリスト男女6人ずつから聞き取り調査を行いました。
その結果、「ドーピングをしない理由」について、多くのメダリストが親や指導者から「ズルはしない」や「勝ち負けより一生懸命に頑張ることが大事」といった教えを受けたことを挙げました。また、「根底に武士道のような信念を持っている」といった回答も多く、「武士道」につながる日本のフェアプレーの精神が大きな要因になっているとみられます。研究グループは、「古来からの武士道の精神が生きているという興味深い結果だった。2020年東京大会に向けて、反ドーピング教育の重要性を世界に広めていくための基礎的な研究になると思う」と話しています。
今回の研究成果は、来月、学術雑誌の「スポーツ産業学研究」に掲載される予定です。


新戸部が予言する通り、武士道のその香気は百世の後も途絶ることは無いのである。

 武士道は一の独立せる倫理の掟(おきて)としては消ゆるかも知れない、しかしその力は地上より滅びないであろう。その武勇および文徳の教訓は体系としては毀(こわ)れるかも知れない。しかしその光明その栄光は、これらの廃址(はいし)を越えて長く活くるであろう。その象徴(シンボル)とする花(桜)のごとく、四方の風に散りたる後もなおその香気をもって人生を豊富にし、人類を祝福するであろう。百世の後その習慣が葬られ、その名さえ忘らるる日到るとも、その香は、「路辺に立ちて眺めやれば」遠き彼方の見えざる丘から風に漂うて来るであろう。──このクエイカー詩人の美しき言葉に歌えるごとく、


  いずこよりか知らねど近き香気に、
  感謝の心を旅とは抱(いだ)き、
  歩みを停め、帽を脱(と)りて
  空よりの祝福を受ける。

── 新渡戸稲造『武士道』