NAKAMOTO PERSONAL

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放送局自体が活動家

テレビは巨大なジャーナリズムで、それには当然モラルがある。私はそれを「茶の間の正義」と呼んでいる。眉ツバものの、うさん臭い正義のことである。

── 山本夏彦『何用あって月世界へ』


「『日本のテレビ局は傲慢』『放送局自体が活動家のよう』ケント・ギルバートさんらが、テレビ報道を猛烈批判」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/entertainments/news/151126/ent1511260018-n1.html

 「日本のテレビ局の態度は傲慢に見える」「放送局自体が活動家のようになっているように見える」-。

 26日に開かれた「放送法遵守を求める視聴者の会」の記者会見では、呼びかけ人の一人、ケント・ギルバートさんがそう訴えるなど、出席者から日本のテレビ報道全体への疑問が相次いだ。

 「(報道機関には)政府を監視し、指摘すべきところは指摘する役割がある。でも、放送局の傲慢な態度は、非常に許し難い。特に安保法制について言うなら、(テレビ報道は)極めて幼稚なプロパガンダを繰り広げ、実に醜かった」

 ギルバートさんは会見で、安保法制への反対意見の紹介に時間の大半を費やしたテレビ局の姿勢を厳しく批判。「日本の放送局と新聞社は分離すべきだ」とも訴えた。

 放送法第4条は、番組編集に当たり、「政治的に公平であること」や「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」をテレビ局に求めている。代表呼びかけ人で作曲家のすぎやまこういちさんは「地上波の放送局は準独占企業体といってもいい。だからこそ、政治的に公平でなければならない」と訴えた。

 会見では、呼びかけ人の一人で文芸評論家の小川榮太郎さんが代表理事を務める一般社団法人日本平和学研究所」が、安保審議を取り上げたNHKと民放計6局の報道番組(9月14~18日)に関する調査結果を公表。調査では、複数の調査員が、番組内の街頭インタビューやコメンテーターらの発言を、安保法制への「賛成」「反対」の2つに分類した。

 その結果、テレビ朝日系「報道ステーション」(対象4651秒)では、反対意見の紹介時間が95%と圧倒的多数を占めたほか、日本テレビ系「NEWS ZERO」(1259秒)やTBS系「NEWS23」(4109秒)も反対が90%以上に上った。フジテレビ系「明日のニュース」(332秒)は反対78%、NHK「ニュースウオッチ9」(980秒)でも反対が68%、賛成が32%にとどまったという。

 小川さんは「検証を進めると、印象として言われる『偏向報道』という言葉では手ぬるい、違法的な状況が蔓延している。メディアは本来、さまざまな見解を伝え、事実と国民を媒介するものではないか」と指摘した。

 その上で、「強調したいのは、(保守派論客と呼ばれる)呼びかけ人の政治的見解を報じてほしくて会を始めたのではない、ということ。逆に、われわれの主張を全テレビ局が90%、賛成したり称賛したりするような状況は異常だ」と主張。「しかし、90%以上が政府や法案をあの手この手で叩き続けるのも異常だ。むしろ、国民の判断を奪う政治宣伝のレベルに達している。この現状は、政治的立場を超えて、誰もが問題視せざるをえない状況ではないか」と訴えた。

 また、経済評論家の上念司さんは「電波帯域は国民の有限な資源。入れる事業者が限られ、許認可制になっている」と説明。TBS系「NEWS23」での岸井成格氏の発言を「アンカーを『審査員』とするなら、審査員としてあるまじきコメント」と強調した。同会では今後、放送法第4条の周知キャンペーンのほか、主な報道番組の検証や監視を進めるという。

 一方、同会から公開質問状を送られたTBS広報部は「特段、コメントすることはありません」としている。

「『安保廃案に声を』…TBS番組での岸井氏発言に『放送法違反』指摘 放送法遵守を求める視聴者の会が公開質問状」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/entertainments/news/151126/ent1511260015-n1.html
「安保審議、テレビはどう報じたか 『バランスに配慮』強調も一部、批判に終始 アンカーが廃案呼びかけ」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/entertainments/news/151003/ent1510030007-n1.html
「テレビの報道番組、目立つ法案批判…アンカー自ら『廃案』訴えも 高須クリニックはCM打ち切り表明」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/entertainments/news/150917/ent1509170008-n1.html

大ぜいが異口同音にいうことなら信じなくてもいいことだ。

── 山本夏彦『何用あって月世界へ』