NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

憂国忌

ミシマの日。

一寸ばかり芸術的な、一寸ばかり良心的な。

・・・要するに、一寸ばかり、といふことは何てけがらはしいんだ。

── 三島由紀夫(『鏡子の家』)

今日は憂国忌
生誕90年、没後45年。
45回目の憂国忌


三島由紀夫事件」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/life/topics/life-30971-t1.html

 三島由紀夫事件から45年。何が三島らを暴挙とも思える行為に駆り立てたのか。憲法改正問題などが注目されるようになった今、三島と寝食を共にした楯の会の元会員の証言などから、改めて事件の背景と現代日本へのメッセージを考える

三島由紀夫没後45年、25日『憂国忌』 自決の前年、ファンに直筆の返信」(下野新聞
 → http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20151125/2154687
三島由紀夫:キーン氏宛て未発表書簡 米進出意欲が克明に」(毎日新聞
 → http://mainichi.jp/feature/news/20151125k0000m040147000c.html
「生身の三島 貴重な証言も」(読売新聞)
 → http://www.yomiuri.co.jp/life/book/news/20151124-OYT8T50096.html
「『憂国忌』三島氏を追悼、筥崎宮参集殿に300人 福岡」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/region/news/151124/rgn1511240037-n1.html


三島由紀夫研究会』 http://mishima.xii.jp/
三島由紀夫文学館』 http://www.mishimayukio.jp/


帰りに2冊購入。

命売ります (ちくま文庫)

命売ります (ちくま文庫)

三島由紀夫の隠れた怪作が20万部突破!三島作品No.1を決定する“緊急国民投票”も開催中」(ダ・ヴィンチニュース)
 → http://ddnavi.com/news/265300/a/


 1968年に『週刊プレイボーイ』にて連載された、三島由紀夫の長編小説『命売ります』。同作は、従来の三島作品のイメージを覆すような、軽いタッチとスリリングな展開で繰り広げられる、極上のエンタメ小説だ。

 1998年に文庫版が刊行された『命売ります』だが、2015年10月13日(火)に累計発行部数が20万部を突破した。刊行から2015年6月までの17年間の発行部数は約4万部。静かな売れ行きの作品だったが、新しい帯を付けて再展開を始めた2015年7月から人気が爆発し、計17万部を重版することに。

 その人気は、各書店の“週刊文庫ランキング”や、“月刊文庫ランキング”で1位を獲得するほど。映画化やドラマ化されたわけでもなく、突如、文豪・三島由紀夫の名前が2015年の文庫ランキングに並ぶということは“事件”と言えるかもしれない。

 この異例のヒットの背景には、“文豪作品再評価”という文庫の新トレンドの兆しがあるといえる。30~50代の女性が「今までとは違った価値観で、文豪作品を読んでみよう」、または「読み直してみよう」とするトレンドがSNSなどから見えてきたという。これには、芥川賞を受賞した又吉直樹が、太宰治をはじめ、文豪とよばれる作家の魅力を積極的に発信している影響もあるといえるだろう。また、名だたる文豪がイケメンとして登場して人気を博す『文豪ストレイドッグス』の大ヒットにより、文豪が身近な存在となったことも大きい。『命売ります』の突然のブレイクは、新たな文庫ブームの幕開けを告げるものになりそうだ。

 そんな、自分だけの“隠れた名作”を再発見したいという読者の要望が高まっている中、2015年に“生誕90年・没後45年”にあたる三島作品に関するアンケートが開催されている。2015年10月15日(木)から始まった「90年目の決着! 2015 今の私が1番オモシロイと思う三島由紀夫作品は…」と題された、三島作品No.1を決定する“緊急国民投票”である。

 No.1を獲得する三島作品は、やはり王道の名作なのか、それとも意外な作品なのか。今の読者が感じ、求めている三島作品が炙りだされるだろう。なお、集計結果の発表は、三島の命日である11月25日(水)(憂国忌)を予定している。

■「三島由紀夫作品・緊急国民投票
投票期間:2015年10月15日(木)~11月14日(土)
プレゼント企画:投票した方の中から、新潮文庫『HANDY NOTE』&ちくま文庫『月のノオト』を抽選で5名にプレゼント。※ともに非売品
結果発表:2015年11月25日(水)
⇒詳しくは「三島由紀夫作品・緊急国民投票」投票フォームまで

■『命売ります』
著:三島由紀夫
解説:種村季弘
カバー装画:山本容子
価格:680円(+税)
発売日:1998年2月
出版社:筑摩書房

目覚めたのは病院だった、まだ生きていた。必要とも思えない命、これを売ろうと新聞広告に出したところ…。危険な目にあううちに、ふいに恐怖の念におそわれた。死にたくない―。三島の考える命とは。

 われわれは戦後の日本が、経済的繁栄にうつつを抜かし、国の大本を忘れ、国民精神を失い、本を正さずして末に走り、その場しのぎと偽善に陥り、自ら魂の空白状態へ落ち込んでゆくのを見た。政治は矛盾の糊塗、自己の保身、権力欲、偽善にのみ捧げられ、国家百年の大計は外国に委ね、敗戦の汚辱は払拭されずにただごまかされ、日本人自ら日本の歴史と伝統を涜してゆくのを、歯噛みをしながら見ていなければならなかった。 

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 日本を日本の真姿に戻して、そこで死ぬのだ。生命尊重のみで、魂は死んでもよいのか。生命以上の価値なくして何の軍隊だ。今こそわれわれは生命尊重以上の価値の所在を諸君の目に見せてやる。それは自由でも民主主義でもない。日本だ。われわれの愛する歴史と伝統の国、日本だ。これを骨抜きにしてしまった憲法に体をぶつけて死ぬ奴はいないのか。もしいれば、今からでも共に起ち、共に死のう。われわれは至純の魂を持つ諸君が、一個の男子、真の武士として蘇えることを熱望するあまり、この挙に出たのである。

── 『檄文』 

 私は三島に「福田さんは暗渠(あんきょ)で西洋に通じてゐるでせう」と、まるで不義密通を質すかのやうな調子で極め付けられたことがある。・・・・どう考へても三島はそれを良い意味で言つたのではなく、未だに西洋の亡霊と縁を切れずにゐる男といふ意味合ひで言つたのに相違ない。それに対してどう答へたか、それも全く記憶にないが、私には三島の「国粋主義」こそ、彼の譬喩(ひゆ)を借りれば、「暗渠で日本に通じてゐる」としか思へない。ここは「批評」の場ではないので、詳しくは論じないが、文化は人の生き方のうちにおのづから現れるものであり、生きて動いてゐるものであつて、囲いを施して守らなければならないものではない、人はよく文化と文化遺産とを混同する。私たちは具体的に「能」を守るとか、「朱鷺」を守るとか、さういふことは言へても、一般的に「文化」を守るとは言へぬはずである。

── 福田恆存(「覚書」一九八八年一月)『福田恆存 思想の〈かたち〉

証言 三島由紀夫・福田恆存 たった一度の対決

証言 三島由紀夫・福田恆存 たった一度の対決

福田恆存と三島由紀夫〈上〉―1945~1970

福田恆存と三島由紀夫〈上〉―1945~1970