NAKAMOTO PERSONAL

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よくもいけしゃあしゃあと…

「【産経抄】よくもいけしゃあしゃあと… 10月24日」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/column/news/151024/clm1510240003-n1.html

 いけしゃあしゃあとよく言えたものだと素直に感心した。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が21日、日韓国交正常化50年の記念行事「日韓親善友好の集い」に寄せたビデオメッセージで「正しい歴史認識」を呼びかけ、日本に慰安婦問題での対応を求めた件についてである。

 朴氏は15日には米ワシントンで講演し、やはり慰安婦問題の進展を要求している。だが、同じ日にベトナム戦争中に韓国軍兵士に性的暴行を受けたベトナム人女性の支援団体が記者会見し、朴氏に公式な謝罪を求めたことにはほおかむりを決め込んでいる。

 中国の習近平国家主席も日本に対し、たびたび「正しい歴史認識」を要求してきた。英国訪問中の20日、バッキンガム宮殿で開かれた公式晩餐(ばんさん)会でも、第二次世界大戦での英中両国民について「正義のために助け合い、日本の侵略に抗してともに戦った」と強調した。

 はて日本がいつ英国を侵略し、中国共産党が当時、英国とどんな連携をしたのかと首をひねらざるを得ない。ともあれ、先の国会会期中には、安全保障関連法案に反対するのは「正義」で、賛成するのは「不正義」だと断じた野党議員もいた。

 古来、やたらと「正しさ」や「正義」を振りかざす人はうさんくさいものだ。哲学者、ニーチェはこう言った。「自らの正義について多弁を弄する一切の者たちを信用するな」。作家、池波正太郎は作中で登場人物に、繰り返し「善と悪との境は紙一重」と語らせている。

 近く開かれる日中、日韓の両首脳会談では、安倍晋三首相が中韓両国から、一方的に「彼らの正義」を突きつけられる場面も予想される。国際社会はまだまだ、道理も倫理もなかなか通じないエゴイズムむき出しの未熟な世界なのが実態である。

  • 古来、やたらと「正しさ」や「正義」を振りかざす人はうさんくさいものだ。
  • 哲学者、ニーチェはこう言った。「自らの正義について多弁を弄する一切の者たちを信用するな」。
  • 作家、池波正太郎は作中で登場人物に、繰り返し「善と悪との境は紙一重」と語らせている。
  • 国際社会はまだまだ、道理も倫理もなかなか通じないエゴイズムむき出しの未熟な世界なのが実態である。


翁の出番。

 俗に金のためなら何でもする、犬のまねしてワンと吠えよ命じられればワンと吠えると言うが、これはそれほど人は金を欲しがるというたとえ話で、いかにも人は金を欲するがそれ以上に正義を欲する。

── 山本夏彦『何用あって月世界へ』