NAKAMOTO PERSONAL

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重課適用


重課適用。古いクルマは重課税。


「車齢13年を超えるクルマの自動車税、さらに増税の『15%増し』へ」(lifehacker)
 → http://www.lifehacker.jp/2015/05/150526car_tax.html

2015年は、車齢13年を超えるクルマの自動車税が通常税率の15%増しとなる見通しです。従来は、10%増しだったのでさらに増税となります。
クルマは、日本の基幹産業と言いつつもユーザーに厳しい国という印象がさらに強くなりそうです。基幹産業だから、新車購入者に対して優しいのかなと斜に構えてしまいそうな状況です。


環境負荷が高い」のが理由?

13年を超えるクルマを対象とする理由は、環境負荷が高いためとされています。クルマは道具なので使い続ければ、廃油や廃タイヤなど環境に負荷のかかる廃棄物が出るのは確かです。しかし、これは利用率も関係しており古いからというのは理由になりません。
これまで優れた道具を後世に残すために、努力をしてきた先人たちの蓄積である「自動車文化」の土壌が荒廃するキッカケになる可能性もあります。また、趣味であれば増税に対してある程度は寛容になれますが、経済的理由で維持しなければならないのであれば、状況はより深刻です。
クルマの利用状況からみれば、車齢13年を超えて維持している方は少数かもしれません。しかし、根拠を欠いており、取りやすい所から取るようにも思え、不公平にも感じます。この税制に対して、ライフハッカーでも以前に紹介したオンライン署名サイト「Change.org」では、廃止・恒久化禁止の署名を求める運動を展開していますも。賛同できる方は、署名してみてはいかがでしょうか。


面白そうなクルマもありますよ

維持の負担が重くなり興味が薄れそうですが、最近は、ライフハッカー読者のみなさんが興味を持ちそうなクルマも登場しています。
たとえば、BMWの「i3」はカーボンシェルとアルミ合金を組み合せた電気自動車です。Apple Watchを使って遠隔でのエンジン始動やエアコン温度の調整、バッテリーの充電率が確認できます。ポルシェも同様のアプリをリリースしています。
これらは、いまの延長線上のようなものですが、IT技術を積極的に取り込んでいるのがシリコンバレーを拠点にするテスラモーターズです。
「Model S」のセンターコンソールには、17インチのタッチスクリーンが搭載されており、ナビからエアコン、クルマの走行モードやサスペンション設定までが操作できます。ナビ専用に小型ディスプレイを搭載するくらいであれば、大型ディスプレイを搭載して、ナビを含む操作系を集約して汎用性を持たせようという考えは、クルマ業界では異端かもしれませんがIT業界では珍しくありません。また、制御ソフトウェアをバージョンアップすることで自動運転対応になるのは、PCと似ています。
足元を見れば維持費の負担は気になりますが、技術的には、まだまだ面白いものではないでしょうかね。クルマって。


平成26年度自動車局税制改正要望結果(PDF)国土交通省
キャンペーン · 総務省総務大臣: 自動車税の重課税分〔13年超車両への増税分〕の廃止・恒久化禁止|Change.org


古いものを大切に。捨てないで直し直し使う。
日本人はそうやって生きて来たのではなかったか。
いつの間にやら使い捨て、買い換えの文化が根づいてしまっているのではなかろうか。

福田恆存に曰く、

 物の中にはそれを造った人の心、それを所有し、使用している人の心が生きている。たとえば、親にとっての死児の遺品は決して単なる物とは言えない。自分の子供が愛玩していたおもちゃは、遺された親にとって、子供の心と自分の心とがそこで出会う場所であり、通い路なのであり、随(したが)って、それは心の棲家(すみか)なのであります。自分自身の所有品についても、自分が長年の間使って来た、つまり付き合って来た品物は事のほか愛着を覚え、吾々はそれを単なる物として見過ごす事は出来ないのです。消しゴムや小刀の様な些末(さまつ)なものですら、そしてそれがもう使うに堪えなくなったものでも、むげに捨て去る気にはなかなか成れないものです。この「こだわり」を「けち」と混同してはなりません。それはその物の中に籠(こ)められている自分の過去の生活を惜しむ気持ちであって、吾々はその物を捨てる事によって自分の肉体の一分が傷付けられ切り落とされる痛みを感じるのであります。

── 福田恆存『物を惜しむ心』