法前仏後
「ターバンを外して少年を助けたシーク教徒の男性に、サプライズの恩返し」(ハフィントンポスト)
→ http://www.huffingtonpost.jp/2015/05/26/sikh-man-who-removed-turban_n_7439318.html?utm_hp_ref=japan
ニュージーランドのオークランドに住むインド系青年のハーマン・シンさん(22)はある日、家の外で急ブレーキの音を耳にした。慌てて外に出てみると、そこには車にひかれた少年が倒れていた。
「女性が、地面に倒れている子供を抱きかかえていました。その子は頭から血を流していたので、自分のターバンを外して彼の頭の下に敷きました」。シンさんはその時の様子をニュージーランド・ヘラルド紙に説明している。
「私は事故のことで頭がいっぱいで、ターバンのことなんて気にかけていませんでした。ただ『出血している子供の頭に何かあてるものが必要だ』としか考えていなかったんです。それが私のやるべきことでしたし、誰でも同じことをしたと思います」
シンさんはシーク教徒だ。シーク教徒にとってターバンは特別なもので、普通は自宅でしか外さない。
しかしシンさんは、怪我をした少年テジョン・パヒア君を助けるために大切なターバンを外した。そして事故の後、シンさんは見知らぬ人たちからの嬉しいサプライズを目にした。
シンさんをインタビューするためにテレビのニュース番組のスタッフが訪れたシンさんの自宅は、ほとんど家具がない質素な家だった。
シンさんの生活が困っているのではないかと心配した視聴者の声を受けて、インターネットメディアの「グッド・ニュース・ネットワーク」のスタッフたちが動いた。彼らは地元の家具店のオーナーの協力を得てトラック一台分の家具をシンさんのアパートに運んだ。
思いがけないサプライズにシンさんは声を詰まらせながら「今までの人生で、こんなに驚いたことはありません」と語った。
“法前仏後”という言葉がある。
仏教では、この言葉が示す通り“仏”よりも“法”が優先される。
仏(覚者、悟った者)、救世主や教祖よりもまず、法(のり、人としての道)が優先されるのである。
どこぞのエライ教祖様の指示や思し召しではなく、「人間としての道」「人間の理法」、自己に頼り、法に頼って生きて行くべきである。と。
良い宗教、悪い宗教があるとするならば、この“法前仏後”が一つの判断基準となり得るのではないか。
彼はターバンよりも目の前の子供を優先したのである。
この変転 常ない世の中では
まず自分に頼るべきである
自分に頼るということはどういうことであるか
自分はこの場合にどうすべきかということを
その場合その場合に考えることでしょう
その場合 何を判断決定の基準にするのか
それは「人間としての道」「法(のり)」
インドの言葉で言うと「ダルマ」と呼ばれるものです
これを「法(ほう)」と訳しますが
この人間の理法というもの これに頼ること
「自己に頼れ 法に頼れ」これが 釈尊の最後の教えでありました
── 中村 元(『NHK映像ファイル あの人に会いたい』)より
『中村元』 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E5%85%83『公益財団法人 中村元東方研究所 』 http://www.toho.or.jp/
『2005年11月05日(Sat) 「中村元」の世界』 http://d.hatena.ne.jp/nakamoto_h/20051105
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