2014-12-27 『余はベンメイす』 多忙に就き、安吾。 すべて人間世界に於ては、物は在るのではなく、つくるものだ。私はそう信じています。だから私は現実に絶望しても、生きて行くことに絶望しない。本能は悲しいものですよ。どうすることも出来ない物、不変なもの、絶対のもの、身に負うたこの重さ、こんなイヤなものはないよ。だが、モラルも、感情も、これは人工的なものですよ。つくりうるものです。だから、人間の生活は、本能もひっくるめて、つくることが出来ます。 ── 坂口安吾(『余はベンメイす』)