NAKAMOTO PERSONAL

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一億総ガキ社会

「【産経抄】一億総ガキ社会 8月13日」(産経新聞
 → http://sankei.jp.msn.com/life/news/140813/edc14081303150001-n1.htm

 例の号泣県議の会見以来、もはやどんな地方議員の失態が発覚しても驚かないはずだったが…。大阪維新の会の34歳の大阪府議が起こしたトラブルもまた、お粗末の一言につきる。

 昨年、地元の祭りで知り合った女子中学生と、無料通信アプリ「LINE」でやりとりを続けてきたこと自体、首をかしげる。やがてグループからはずされると、脅迫まがいのメールを送るようになった。「絶対に許さない」「ただでは済まさない」。幹事長の松井一郎知事は、「大人として成長が足りない」と苦言を呈した。つまり、子供が府議を務めていたことになる。

 議員だけではない。長崎県の小学校では、休み時間中に児童とゲームをしていた男性教諭が、「先生に負けたら窓から飛び降りてもらおうかな」などと発言していた。冗談だったとしても、この教諭は、「命の大切さ」をどのように伝えてきたのだろう。

 日本社会の幼稚化が、指摘されて久しい。クレーマーモンスターペアレントのように、何でも他人のせいにしたり、すぐに「キレ」たりする大人が増えた。子供時代は不登校やひきこもり、大人になってからは、出社拒否や「うつ」という形で現れる、「打たれ弱さ」も目立つ。危険な薬物への依存症も、深刻な問題だ。

 精神科医の片田珠美さんによると、これらの社会問題の根源には、同じ病理が横たわっている。「自分は何でもできる」という幼児的万能感をいつまでも引きずる、「成熟拒否」の蔓延(まんえん)が、その正体だ(『一億総ガキ社会』光文社新書)。

 片田さんは、成熟した大人になるためには、若い頃から転んでは起き上がる体験を繰り返すしかない、という。もちろん、敗者復活が容易な社会を築くことが、前提となる。

一億総ガキ社会?「成熟拒否」という病? (光文社新書)

一億総ガキ社会?「成熟拒否」という病? (光文社新書)



大人とは自ら損な立場がとれる人である。

 権利を主張することが民主的な生き方であって、それが人間の最も望ましい生き方などと、私は思えない。私自身、弱いエゴイストだけれど、人間というものは、自分が損のできる人にならねばならないと思っている。できるかどうかは別として、そうありたいと願うのである。損な立場がとれた時、人間は初めて、動物ではなく、人間になれるからなのだ。

── 曾野綾子(『自分をまげない勇気と信念のことば』)

noblesse oblige


自分をまげない勇気と信念のことば (WAC BUNKO)

自分をまげない勇気と信念のことば (WAC BUNKO)