“ムーミンの日”
「元祖ゆるキャラのムーミン 作家生誕100周年で新たなブーム」(NEWSポストセブン)
→ http://www.news-postseven.com/archives/20140809_271027.html
8月9日は“ムーミンの日”。この日はムーミン・シリーズの作者トーベ・ヤンソンの誕生日であることから、10年前にムーミンの日と定められた。今年はヤンソンの生誕100周年という記念の年で、すでにかつてない規模の「MOOMIN!ムーミン展」が全国を巡回し、関連書籍が続々出版されるなど、新たなブームが起きている。来年には日本にムーミンのテーマパークも建設される予定だ。キャラクター大国である我が国において愛され続けるフィンランドのキャラクターたちの人気の理由とは――。
猛暑の午後、長い行列ができているのはムーミンベーカリー&カフェ(東京ドームシティ・ラクーア店)。ここでは北欧の家庭料理や、ムーミン・シリーズのキャラクターたちをモチーフにした可愛らしい料理を楽しめる。等身大のムーミンやムーミンパパが相席してくれることでも話題だ。子供のみならず女性を中心に大人にも人気で、「平日の午前中など、少し空いている時間に一人で来てムーミンを見ていると癒されます」と30代女性は語る。
ムーミンが日本に上陸したのは1964年。「ムーミン谷の冬」が『少年少女新世界文学全集』(講談社)に収録された。1969年にアニメのテレビ放送が始まると一躍、子供たちの人気ものに。岸田今日子が声優を務めた温かみのあるムーミンの声を覚えている方も多いのではないだろうか。90年代入ると、作者のヤンソンが監修に参加したアニメが新たに日本で制作される。この作品は翌年から母国フィンランドに輸出され、さらに欧州やアジアなど世界各地で放送されて、世界的なムーミン人気に一役買った。
現在日本は、フィンランドに次いで世界で2番目に多くのムーミンファンがいる国だという(Moomin Characters マネージング・ディレクター Roleff Kråkström氏)。ヤンソン生誕100周年の今年6月にはムーミンの日本公式ウェブサイトもオープンした。
ムーミンとはカバではなく、ムーミントロール族。トロールとは北欧の神話などに出てくる醜い生き物で、妖精と言われることもあるが、作者のヤンソンはムーミンについて「彼らは人間でも動物でもありません。もちろん妖精でもありません。しいて言えば、“存在するもの”かしら…」と述べている。ちなみに大きさは「大体、電話帳くらいの大きさかしら」(ヤンソン、『MOE×ムーミンの公式ガイド』より)。
ムーミンのほかにスナフキンやミイ(リトルミイ)などの個性的なキャラクターも人気だ。ヤンソンが「私も彼のようになりたい」(出典・同上)と語っているスナフキンは、自由と孤独を愛し、哲学を持つ旅人。人好きだけれど、決して群れない。「だれかを崇拝しすぎると、ほんとうの自由は、得られないんだよ」「明日もきのうも遠く離れている」などの名言がファンの心をつかんでいる。
『Moominday』 https://www.moomin.co.jp/moominday
『All Things Moomin』 https://www.moomin.co.jp/
たかが“ムーミン”と侮るなかれ。なかなか哲学的。
名言二十選。
- せっかくの人生なのに! きみたち、修繕にてんてこまいで、朝から晩まで、とびまわってるんですね。骨おって働くなんて、考えただけでも、気がめいってきますよ。なんのためになるんですか。ぼくの親戚にね、触覚やひげがたれ下がってヨレヨレになるほど三角法の勉強をしたやつがいたんだけど、習い終わったとたんモランがやってきて、食べられてしまった。そう、やつは今や、すごい秀才になって、モランのお腹の中で、のびてるんだ!(ヨクサル『ムーミンパパの冒険』)
- (大危機への憧れを静めて、細やかで優しい穏やかさで心を満たしてみたんだ。しかし、状況は、ちっとも好転しなかった。こんなことをしていたら、ニョロニョロたちに、ごく普通のベランダ・パパと思われてしまうかも・・・・・・) パパは、気が気ではありませんでした。(ムーミンパパ『ムーミン谷の仲間たち』)
- みんなも知ってるでしょう? 毎日毎日、おびえてばかりいると、だれだって、すきとおって消えてしまいそうになるわよね?(トゥーティッキ『ムーミン谷の仲間たち』)
- 「その調子だと、おまえ、すぐにおとなになっちまうぞ」と、ホムサ兄ちゃんがさとしました。「父さんや母さんみたいな、おとなになるんだ。おまえにゃ、ぴったりだぜ。ごくふつうに見て、ごくふつうに聞くだけのおとなだ。つまり、なーんにも見ないし、なーんにも聞かないってことだな。とどのつまり、おまえは、なんにもできなくなっちまうんだ。」(『ムーミン谷の仲間たち』)
- (道や川って、なんだか、とっても不思議なんだ)スニフは思いました。(どこへ行くんだろう・・・・・・って見つめていると、なんだか、ワクワクするみたいな、なつかしいみたいな気持ちになるんだ。どこか知らないところへ、たまらなく行ってみたくなって、いったいどこまで行くんだろう・・・・・・って、ついてってみたくなってしまう・・・・・・)(スニフ『ムーミントロールと彗星』)
- だれも心配しすぎないって、いいことでした。ムーミンたちは、ほかのひとのために、やたらと心配しないでいようと、きめていました。つまり、そのほうが、心配をかけたと思って良心をいためなくても、すみます。それに、ありったけの自由をあたえあっていることにもなるのです。(『ムーミン谷の仲間たち』)
- (そのひとのことをだれも話さない、それに、だれにも話しかけてもらえない、なんてひとがいたら、そのひと、だんだん消えてってしまうにちがいないぞ。だって、自分がいるって、信じられなくなってしまうもの)(ムーミントロール『ムーミンパパ海へいく』)
- 「この子、怒ることも、できないのよ」ちびのミイが、いいました。「それが、この子の悪いところだわね」(『ムーミン谷の仲間たち』)
- 未知のことばかりでした。でも、全部、自分で判断してきめました。そして、なにひとつとして、いままでどおりのやりかたではやりませんでした。わたしは、すこぶる幸せでした。(『ムーミンパパの冒険』)
- むかしあるところに、自分が持っている品物たちをこよなく愛している奥さんがいたんだ。奥さんには、子どもがなかったので、よろこびも悩みもなく、はたらいたり食事をつくったりする必要もなかった。ほかの人がどんなふうに思うかなんて、気にもしなかった。こわいものは、なにもないひとだったんだ。だけどね、奥さんは、遊び心というものを、失っていた。つまり、とてもさびしい毎日を、すごしていたんだ。(スナフキン『ムーミン谷の仲間たち』)
- 秋になると、残るものと旅立つものがいます。いつだって、そうでした。好き好きでいいのです。でも、とりかえしがつかなくならないうちに、早めに決心することです。(『ムーミン谷の十一月』)
- 「ものは、自分のものにしたくなったとたんに、あらゆるめんどうが、ふりかかってくるものさ。運んだり番をしたり・・・・・・。ぼくは、なんであろうと、見るだけにしている。立ち去る時には、全部、この頭にしまっていくんだ。そのほうが、かばんを、うんうんいいながら運ぶより、ずっと快適だからねぇ・・・・・・」(スナフキン『ムーミントロールと彗星』)
- ふたりは、たがいにさりげなく敬意をはらいあい、そのくせふたりとも、自分の世界をしっかりと保っていました。相手のためになにかをしてあげるなんてことはなく、わかりあおうともしなけてば、気にいられようともしませんでした。こういうのも居心地よくいっしょにすごす、一つの方法ではないでしょうか。(『ムーミンパパ海へいく』)
ビョーク、『コメット・ソング』。
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