ところで小林君、
ところで小林君、この事件では常識では説明のできないような点がいろいろあるね。それをひとつかぞえあげてみようじゃないか、これが探偵学の第一課なんだよ。
昭和40年7月28日 江戸川乱歩 没
探偵推理小説にのめり込んだ少年期。
シャーロック・ホームズやアルセーヌ・ルパン。金田一耕助。
断然ぼくは、明智小五郎派。
ポプラ社の『少年探偵団シリーズ』での名探偵明智小五郎と小林少年をはじめとする少年探偵団の活躍に胸躍らせた。
久し振りに読み返す。
そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。
「二十面相」というのは、毎日毎日、新聞記事をにぎわしている、ふしぎな盗賊のあだ名です。その賊は二十のまったくちがった顔を持っているといわれていました。つまり、変装がとびきりじょうずなのです。────
このお話は、そういう出没自在、神変ふかしぎの怪賊と、日本一の名探偵明智小五郎との、力と力、知恵と知恵、火花をちらす、一騎うちの大闘争の物語です。
大探偵明智小五郎には、小林芳雄という少年助手があります。このかわいらしい小探偵の、リスのようにびんしょうな活動も、なかなかの見ものでありましょう。
さて、前おきはこのくらいにして、いよいよ物語にうつることにします。
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