一日一言「『気』と『振』」
(気とは何事も他人に負けてはならないとする気持で、人の下位に在ることをこの上もなく残念に考へるところから発する。所謂意地張りに外ならない。振とは確定した目的の下に一刻も油断なく、心の緊張を失はないことである。この気は生きとし生きるものの全部が所有し、禽獣ですらも相当に持つてゐる。非常に気の立つた禽獣は人を害し、苦しめる場合がある。まして人間は気の持方一つで、その人を如何なる地位にも達せしめることが出来る。)五月三十日 「気」と「振」
気とは人に負けぬ心でありて、恥辱のことを無念に思ふ処より起る意気張の事なり。振(しん)とは折角自分と心をとゞめて振立振起し、心のなまり油断せぬ様に致す儀なり。此気は生ある者にはみなる者にて、禽獣にさへこれありて、禽獣にても甚しく気の立ちたる時は、人を害し人を苦しむることあり。まして人に於いてをや。〈橋本左内〉
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