たのしみは、
多忙は続く今少し。
楽しみは、、、
- たのしみは草のいほりの筵(むしろ)敷(しき)ひとりこゝろを靜めをるとき
- たのしみは珍しき書(ふみ)人にかり始め一ひらひろげたる時
- たのしみは空暖(あたた)かにうち翎(はれ)し春秋の日に出でありく時
- たのしみは朝おきいでゝ昨日まで無(なか)りし花の咲ける見る時
- たのしみは意(こころ)にかなふ山水のあたりしづかに見てありくとき
- たのしみは物識人(ものしりびと)に稀にあひて古(いに)しへ今を語りあふとき
- たのしみは世に解(とき)がたくする書の心をひとりさとり得し時
- たのしみは錢なくなりてわびをるに人の來(きた)りて錢くれし時
- たのしみは心をおかぬ友どちと笑ひかたりて腹をよるとき
- たのしみは湯わかしわかし埋火(うづみび)を中にさし置(おき)て人とかたる時
── 橘曙覧(『独楽吟』)
『橘曙覧記念文学館』 http://www.fukui-rekimachi.jp/tachibana/
- 作者: 橘曙覧,水島直文,橋本政宣
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1999/07/16
- メディア: 文庫
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