「余は歴史に学ぶ」
日本人が日本を愛するのは、日本が他国より秀れてをり正しい道を歩んで来たからではない。それは日本の歴史やその民族性が日本人にとつて宿命だからである。
人々が愛国心の復活を願ふならば、その基は宿命感に求めるべきであつて、優劣を問題にすべきではない。日本は西洋より優れてゐると説く愛国的啓蒙家は、その逆を説いて来た売国的啓蒙家と少しも変わりはしない。その根底には西洋に対する劣等感がある。といふのは、両者ともに西洋といふ物差しによつて日本を評価しようとしてゐるのであり、西洋を物差しにする事によつて西洋を絶対化してゐるからである。
20代前半、祖国を知らない自分に忸怩たる思いをした事がある。
ニュージーランドのユースホステルで地元の学生らにアイヌについて問われ、答えられなかった。
カナダでは朝鮮と中国の若者に日本の軍隊(自衛隊)は非常に危険だと言われて、反論できなかった。
プロテスタントとカトリックの議論の間で、お前はブッダか、とからかわれた事もある。
日本を知らない自分を思い知った。
そこからぼくの郷土愛、祖国愛が始まった。
歴史教育の重要性を学んだ。
古人に曰く「故きを温ねて新しきを知る」と。
「愚者は経験に学ぶ。余は歴史に学ぶ。」と言ったのは鉄血宰相ビスマルクだったか。
「【主張】日本史必修化 誇り持って学べる内容に」(産経新聞)
→ http://sankei.jp.msn.com/life/news/140112/edc14011203230000-n1.htm
高校で日本史の必修化が検討されることになった。国際化のなかでこそ日本の伝統文化に誇りを持ち、情報を強く発信できる人材が求められている。教科書や指導内容を含め、実施への議論を深めてもらいたい。
下村博文文部科学相は年頭の記者会見で、「日本力の強化につながる教育施策」を進めていくとした。具体例として英語教育の充実を挙げる一方、日本人としてのアイデンティティー(主体性)にかかわる「歴史、文化に対する教養」を備えた人材育成を指摘した。
次期学習指導要領改定は、日本史必修化を「前向きに検討する」という。今夏頃にも次期指導要領の内容などを議論する中央教育審議会に諮問される。
国際化への対応などで、高校では平成元年改定の指導要領から、地理歴史3科目のうち世界史が必修になった。ほかに日本史か地理のどちらかを履修すればいいことになっている。
小中学校で歴史の授業が日本史中心になっているとはいえ、真の国際人育成のためにも、教養を高めるべき高校時代に日本史を学ばないのは問題だ。自国の歴史に誇りを持たずに、他の国や地域への理解や尊敬の念は生まれない。21年改定の現行の高校指導要領では、日本史必修化が検討されながら見送られた経緯もある。
神奈川県、東京都の教育委員会はすでに、独自に日本史を必修にしている。神奈川県で必修化を決めた当時の松沢成文知事は「しっかりした日本人、国際人の育成に日本史は不可欠」と述べていた。神奈川では「郷土史かながわ」、東京では「江戸から東京へ」と題する地域の歴史を充実させた独自の教科書もつくり、指導充実を図っている。参考にしたい。
歴史教育では、教科書のなかで南京事件について中国側が宣伝する誇大な犠牲者数をあげるなど、ことさら日本を悪く描く自虐史観が抜けない。一部の教師による、暗い歴史観を押しつける指導も歴史嫌いの生徒を増やすだけだ。
現行の指導要領の解説書などでは、歴史について思考力を育むことが重視されている。歴史の年号や事項を覚えることも必要だが、暗記に偏るのではなく、多様な歴史の見方を育んでほしい。
そのためにも、歴史や文化に心から興味がもてるような教科書や指導の改善が欠かせない。
そして、我々が歴史を作るのではなく、歴史が我々を作り出したのである。
「将来に向かってよりよい歴史をつくり出す」という家永三郎氏の発言は何事か。歴史は作り出すものではない。勿論、作り出したものでもない。歴史が吾々を作り出したのである。日本国憲法も民主主義、平和主義も歴史が作り出したのである。最良の史書においては歴史が主人公になり、その顔が見える様に書かれている。家永氏の軽視した「記紀」は正にそういうものではないか。右に引用した家永三郎氏の「新日本史」末尾に徴して見ても明らかな通り、この書物の主人公は歴史ではなく現代である。現代の顔を、或は自分の顔を映し出す自惚れ鏡を歴史教科書と称することは許されない。古来、歴史を鏡と称して来たのは、それによって現代、及び自分の歪みを匡(ただ)す意味合いのものではなかったか。
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