一日一言「縁の絆」
十二月十六日 縁の絆
人と人との縁とは、時がたつにつれてますます強くなるものだ。人間が出会ったり離れたりすることも偶然ではない。同じ電車に乗るのも、同じ水道のみずをのむという縁も浅いものではない。同じ街に住む人は、お互いの便宜をはかって他の人の言うことを聞き、同じ車に乗る者は、お互い席をゆずることは、人との縁を強くするもとである。
かたきでも思ひまはせば惜しからず
善きも悪きも縁と思へば
たとえ会話無くすれ違う人との縁にしても、人類25万年だか30万年だかの歴史の中で今この現代に生まれて、5億平方キロメートルだかの表面積の地球上で、60億だか70億だかの人口の中で出会う確率たるや、奇蹟である。
人と人は、出会うべくして出会うのである。
「類は友呼ぶの法則」。
偶然は必然。
身の回りに起こるあらゆる事象をメタファー(隠喩)として考える。
起こるべくして起こった。と考える。
カール・グスタフ・ユングの言うところの共時性、いわゆるシンクロニシティである。
偶然の中に必然性を見付け出し、意味を見出す。
偶然の中から神話を読み取る。
ジョーゼフ・キャンベルに学んだ神話学の要諦である。
“神話の力”である。
人々はよく、われわれは生きることの意味を探っていると言いますが、人間がほんとうに探求しているのは、たぶん生命の意味ではありません。人間がほんとうに求めているのは、〈いま生きているという経験〉だと思います。純粋に物理的な次元における生活体験が自己の最も内面的な存在ないし実態に共鳴をもたらすことによって、生きている無上の喜びを実感する。それを求めているのです。
── 第一章 神話と現代の世界(『神話の力』)
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