NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

『くじけないで』

今日の産経抄より。


「【産経抄】10月28日」
 → http://sankei.jp.msn.com/life/news/131028/art13102803060001-n1.htm

 小紙「朝の詩」の寄稿者からベストセラー詩人となった柴田トヨさんの作品には、早くからプロも注目していた。先日訃報が届いたやなせたかしさんも、その一人だった。詩集が出るとすぐ、小紙に書評を寄せただけではない。

 自身が責任編集する『詩とファンタジー』(かまくら春秋社)でも、トヨさんの特集を組んだ。特別対談の相手は、もちろん「朝の詩」の選者、新川和江さんである。詩集の題名にもなった「くじけないで」とともに、「こおろぎ」という作品の冒頭部分が話題となった。

 「深夜 コタツに入って 詩を書き始めた 私 ほんとうは と 一行書いて 涙があふれた」。「わたしそれがとっても気になってしまって『本当はどうだったのトヨさん』ってききたい気持ちになる」。新川さんが語っている。詩の投稿をした多くの読者も、同じ疑問を新川さんにぶつけたという。

 そのトヨさんを主人公にした映画「くじけないで」が、来月16日から公開される。トヨさんが、一人息子の健一さんの勧めで、90歳過ぎてから作り上げた詩の数々が、いかに周囲の人たちに希望を与えていったのか。幼少時代からの回想シーンを交えて描いてゆく。

 映画の脚本をもとにした小説『くじけないで』(山室有紀子著、産経新聞出版)によると、何より映画の狙いは、「私 ほんとうは」のあとの空白を埋めることのようだ。実際、ラスト近くのシーンで、「こおろぎ」の詩が重要な役割を果たす。

 「おっかさんの役は八千草薫さんだよ」。健一さんに教えられ、うれしそうに目を輝かしていたトヨさんは今年1月、101歳の大往生を遂げた。トヨさんのトレードマークだった毛糸の帽子を被(かぶ)った、八千草さんの演技が楽しみだ。

『映画「くじけないで」』 http://www.kujikenaide.jp/
『柴田トヨの世界展』 http://shibatatoyo.jp/

『こおろぎ』

深夜 コタツに入って
詩を書き始めた
私 ほんとうは
と 一行書いて
涙があふれた
何処かで
こおろぎが鳴いている
泣く人遊んであげない
コロコロ鳴いている
こおろぎコロスケ
明日もおいでね
明日は笑顔で
待ってるよ

『くじけないで』

ねえ 不幸だなんて
溜息をつかないで
陽射しやそよ風は
えこひいきしない
夢は
平等に見られるのよ
私 辛いことが
あったけれど
生きていてよかった
あなたもくじけずに

『幸せ』

今週は
看護師さんにお風呂に
いれてもらいました
倅の風邪がなおって
二人でカレーを
食べました
嫁が歯医者に
連れて行って
くれました
なんて幸せな
日の連続でしょう
手鏡の中の私が
輝いています

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