NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

A votre sante!

『A PUZZLE』
──ツキヨノバンニチョウガトンボニナッタ
──え?
──トンボノハナカンダカイ
──なんだって?
──ハナカミデサカナヲツッタカイ
──なに なんだって?
──ワカラナイノガネウチダトサ

『見てきたことを云う人』
 「きみはあの月も 星も あんなものが本当にあると思ってるのかい」
 とある夜ある人が云った
 「うん そうだよ」
 自分がうなずくと
 「ところがだまされているんだ あの天は実は黒いボール紙で そこに月や星形のブリキが貼りつけてあるだけさ」
 「じゃ月や星はどういうわけで動くんかい」
 自分が問いかえすと
 「そこがきみ からくりさ」
 その人はこう云ってカラカラと笑った 気がつくとたれもいなかったので オヤと思って上を仰ぐと 縄梯子の端がスルスルと星空へ消えて行った

『月夜のプロージット』

 時計が十一時を打った時 おとぎばなしの本をよんでいた男が 思い出したように立ち上がって 窓を開けた そしてそこに青い光がいっぱい降っているのを見ると半身をつき出しながらどなった
 「おいやろうぜ」
 すると隣の窓から返事がした
 「OK!」
 やがて青い電気に照らされた舞台のように青いバルコニーに 円テーブルが持ち出された 二つの影がそのまわりに立って 互いに差し上げた片手の先でカチッと音をさせた
 A votre santé!
 双方のグラスには いつのまにか水のようなものがはいっていた それを一息に呑むと 一方が云った
 「だんだんうまくなるじゃないか」
 他方が答えた
 「そうさ 十三夜だもの」

── 稲垣足穂『一千一秒物語』


そうさ、今夜は十三夜。


一千一秒物語』(松岡正剛の千夜千冊) http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0879.html


人間人形時代

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第三半球物語

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タルホ座流星群

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