NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

一日一言

七月一日 思い立った日が吉日


 今年もはや半ばを過ぎて、失敗したことが多かったことを反省するが、あとの半年は、これを取り返さなければならない。そのためにはすぐ実行することを心がけなければならない。善いことや正しい道と知ったならば、すぐにその方針に向かって進むことである。貯蓄が必要だと思ったなら、すぐにその日のうちに一銭の貯金をしなさい。また、学問が大事だと思ったら、その日のうちに本を一ページでいいから読みなさい。


  東路と言へば遠きに似たれども
      ただ一と足の踏み出しにあり

 
  千里ゆく道も初は一と歩み
      低きよりして高く登りつ

── 新渡戸稲造(『一日一言』)



人生も半分残っていない。
それは明日かもしれないし、明後日かもしれないし、来年かもしれない。
月並みだけれども、悔いの無いように。

 人間は悲しいものだ。切ないものだ。苦しいものだ。不幸なものだ。なぜなら、死んでなくなつてしまふのだから。自分一人だけがさうなんだから。銘々がさういふ自分を背負つてゐるのだから、これはもう、人間同志の関係に幸福などありやしない。それでも、とにかく、生きるほかに手はない。生きる以上は、悪くより、良く生きなければならぬ。

── 坂口安吾『教祖の文学』