When you smile to the world, the world smiles back.
「あなたはこの『笑いの伝染』に耐えられるか!? 他人の笑いにつられて大爆笑してしまう人々の動画がオモシロイ」(IRORIO)
→ http://irorio.jp/ekunikiyoshi/20130605/62345/
誰かが大笑いをしていると、そこまで面白いわけではないのになぜか自分も笑ってしまったという経験はないだろうか。笑いは伝染するのだ。楽しそうに笑っている人につられて笑うと、こちらまで楽しくなる。なぜ笑っているのかさえわからないけど、ハッピーになれる。
そんな現象を映し出した動画が話題だ。コスメブランドの「Rituals」が、「Laughing Buddha(訳:笑う仏陀)」というコレクションの新商品発売に合わせて制作したCM。ある月曜日の朝、通勤や通学のために電車を待つ人々のなかで、何かを思い出したかのように突如ひとりの男性が笑い始めた。それに気付いた周りの人々は怪訝そうな表情で男性をチラ見する。そんな周囲の反応もお構いなしに男性の笑いが徐々に激しさを増すと、いつの間にかみんなも大爆笑している。
最後にRitualsの看板が出てきてネタバラシという内容なのだが、男性につられて笑った人々が本当に楽しそうな表情をしているのが印象的だ。月曜の朝からこんなに大笑いできれば、きっと素敵な一週間を送れることだろう。あなたはこの「笑いの伝染」に耐えられるだろうか。
When you smile to the world, the world smiles back.
「笑う門には福来たる」
誰でも知っているが、忘れがちなこと。
忘れた頃にやって来る、寺田寅彦。
「棄てた一粒の柿の種 生えるも生えぬも 甘いも渋いも 畑の土のよしあし」、『柿の種』から。
安政時代の土佐の高知での話である。
刃傷(にんじょう)事件に座して、親族立ち会いの上で詰め腹を切らされた十九歳の少年の祖母になる人が、愁傷の余りに失心しようとした。
居合わせた人が、あわててその場にあった鉄瓶の湯をその老媼(ろうおう)の口に注ぎ込んだ。
老媼は、その鉄瓶の底をなで回した掌で、自分の顔をやたらとなで回したために、顔じゅう一面にまっ黒い斑点ができた。
居合わせた人々は、そういう極端な悲惨な事情のもとにも、やはりそれを見て笑ったそうである。
夜ふけの汽車で、一人の紳士が夕刊を見ていた。
その夕刊の紙面に、犬のあくびをしている写真が、懸賞写真の第一等として掲げてあった。
その紳士は微笑しながらその写真をながめていたが、やがて、一つ大きなあくびをした。
ちょうど向かい合わせに乗っていた男もやはり同じ新聞を見ていたが、犬の写真のあるページへ来ると、口のまわりに微笑が浮かんで、そうして、……一つ大きなあくびをした。
やがて、二人は顔を見合わせて、互いに思わぬ微笑を交換した。
そうして、ほとんど同時に二人が大きく長くのびやかなあくびをした。
あらゆる「同情」の中の至純なものである。
ある若い男の話である、青函連絡船のデッキの上で、飛びかわす海猫の群れを見ていたら、その内の一羽が空中を飛行しながら片方の足でちょいちょいと頭の耳のへんを掻いていたというのである。どうも信じられない話だがといってみたが、とにかく掻いていたのだからしかたがないという。
この話をその後いろいろの人に話してみたが、大概の人はこれを聞いて快い微笑をもらすようである。
なぜだかわからない。
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翁にも曰く、
まじめ人間はまじめくさるからいけないのである。今も昔も私たちに欠けているのは笑いである。
── 山本夏彦(『何用あって月世界へ』)
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