「宮沢賢治・詩と絵の宇宙―雨ニモマケズの心」
「『雨ニモマケズ』直筆メモも 札幌で宮沢賢治展開幕」(北海道新聞)
→ http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/445965.html
宮沢賢治の世界観を伝える企画展「宮沢賢治・詩と絵の宇宙―雨ニモマケズの心」(北海道新聞社など主催)が2日、札幌市中央区北5西2の札幌エスタ11階プラニスホールで始まった。
「雨ニモマケズ」の詩が鉛筆でメモ書きされた手帳や、太陽と山を抽象的に描いた水彩画など、純朴さを感じさせる賢治の作品と資料約20点を展示。賢治作品に触発された画家らの絵本の挿絵原画など約50点も並ぶ。賢治の弟・清六さんの孫で、展示作品を提供した岩手県在住の宮沢和樹さん(48)は「賢治の作品は古びることなく生き続けていることを知ってほしい」と話していた。
24日まで。午前10時~午後7時(最終入場は午後6時半)。入場料は一般700円、高校・大学生500円、中学生以下無料。問い合わせは同ホール(電)011・213・2776へ。
近いうちに寄ってみましょ。
わたしたちは、氷砂糖をほしいくらゐもたないでも、きれいにすきとほつた風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗(らしゃ)や、宝石いりのきものに、かはつてゐるのをたびたび見ました。
わたくしは、さういふきれいなたべものやきものをすきです。
これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらつてきたのです。
ほんたうに、かしはばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかつたり、十一月の山の風のなかに、ふるへながら立つたりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。ほんたうにもう、どうしてもこんなことがあるやうでしかたないといふことを、わたくしはそのとほり書いたまでです。
ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでせうし、ただそれつきりのところもあるでせうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。なんのことだか、わけのわからないところもあるでせうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。
けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまひ、あなたのすきとほつたほんたうのたべものになることを、どんなにねがふかわかりません。
- 作者: 宮沢賢治
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