山本周五郎のことば
今日は山本周五郎。
- 人間のゆくすえは神ほとけにはもわかるまい、実際に生きてみるほかないのだ、かなしいけれど人間とはそういうものなのだ。(『枡落し』)
- 「人間が欲に負けるというのはつくづく悲しいもんだと思いますよ」(『さぶ』)
- 「世の中には生まれつき一流になるような能を備えた者がたくさんいるよ、けれどもねえ、そういう生まれつきの能を持っている人間でも、自分ひとりだけじゃあなんにもできやしない、能のある一人の人間が、その能を生かすためには、能のない幾十人という人間が眼に見えない力をかしているんだよ」(『さぶ』)
- 「人間はみな同じような状態にいるんだ、まぬがれることのできない、生と死のあいだで、そのぎりぎりのところで生きているんだ」(『樅ノ木は残った』)
- 「――意地や面目を立てとおすことはいさましい、人の眼にも壮烈にみえるだろう、しかし、侍の本分というものは堪忍や辛抱の中にある、生きられる限り生きて御奉公をすることだ、これは侍に限らない、およそ人間の生きかたとはそういうものだ、いつの世でも、しんじつ国家を支え護(もり)立てているのは、こういう堪忍や辛抱、――人の眼につまかず名もあらわれないところに働いている力なのだ」(『樅ノ木は残った』)
- 「人間としをとればいろんなことがわかってくる、わかるにしたがって世の中がどんなにいやらしいか、人間がどんなにみじめなものか、ってことがはっきりするばかりだ」(『へちまの木』)
- 「にんげん生きてゆくためにゃあ、どんな恥ずかしいことも忍ばなくちゃあならねえときがある、気にしなさんな、そのうちに慣れるさ」(『へちまの木』)
- 「世の中は絶えず動いている、農、工、商、学問、すべてが休みなく、前へ前へと進んでいる、それについてゆけない者のことなど構ってはいられない、――だが、ついてゆけない者はいるのだし、かれも人間なのだ、いま富み栄えている者よりも、貧困と無知のために苦しんでいる者たちのほうにこそ、おれは却って人間のもっともらしさを感じ、未来の希望がもてるように思えるのだ」(『赤ひげ診療譚』)
- 「あなたの持っている才能も、このままではだめだ、もっと迷い、つまづき、幾十たびとなく転び、傷ついて血をながし、泥まみれになってからでなくては、本物にはならない」(『虚空遍歴』)
- 「世間にゃあ表と裏がある、どんなきれい事にみえる物だって、裏を返せばいやらしい仕掛けのないものは稀だ、それが世間ていうもんだし、その世間で生きてゆく以上、眼をつぶるものには眼をつぶるくらいの、おとなの肝(はら)がなくちゃならねえ」(『虚空遍歴』)
- 「人間は自分のちからでうちかち難い問題にぶっつかると、つい神に訴えたくなるらしい、――これがあなたの御意志ですかとね、それは自分の無力さや弱さや絶望を、神に転嫁しようとする、人間のこすっからい考えかただ」(『おごそかな渇き』)
昭和42年(1967) 山本周五郎 没。
『山本周五郎作品館』 http://homepage3.nifty.com/yamashu-kan/
『山本周五郎研究』 http://www.konan-wu.ac.jp/~kikuchi/36/
『山本周五郎』(Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E5%91%A8%E4%BA%94%E9%83%8E
苦しいときほど人間がもっとも人間らしくなるときはない。
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