NAKAMOTO PERSONAL

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「なぜ人の肌は水耐性なのか?」

「なぜ人の肌は水耐性なのか? その謎にせまる!」(Pouch)
 → http://youpouch.com/2012/05/09/64405/

スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究チームが、「人の肌の水耐性」に関する秘密を明らかにしたと、海外サイト『io9.com』が伝えています。

たとえば激しい雨が降りしきる中、傘もささずに出歩いたとしましょう。そのとき水があなたの体に浸透することは、もちろんありませんよね。また汗をかいたとき、それが再び内部に戻るということも、おそらく誰も経験したことがないはずです。「人の肌の水耐性」、つまり、肌は水を内部まで通さないという事実は、みなさんもこのような体験からご存知のことでしょう。

人の肌の水耐性は一体どのような仕組みで保たれているのか。今回はその謎にせまりたいと思います。

先に挙げた事例からもわかるとおり、水は皮膚を通る際常に一方向であり、かつ皮膚には防水バリアのような機能があります。カロリンスカ研究所の研究チームによると、これは、皮膚組織の最も外部の層の仕組みから生じているとのこと。

この事実を明らかにしたのは、研究チームが行った以下の研究です。まず被験者になった5名の前腕部分の皮膚の層をそぎ、それらをマイナス140度で急速冷凍します。その後、凍った皮膚組織をスライスして、皮膚内部で起こる防水の働きを細かく検証。そこでわかったのは、皮膚の表面にある脂肪質の層には「親水性(水を引きつける性質)」と「疏水性(水をはじく性質)」というふたつの性質がある、ということでした。

「親水性」と「疏水性」、ふたつの性質を併せ持つ脂肪質は、皮膚表面においてヘアピンのような構造を形成しています。一方の先端に「親水性」、そしてもう一方に「疏水性」を持つこの脂肪質。ふたつの性質が交互に互いの上に積層されることによって、組織が凝縮され、より強力になった防水バリアが形成されているのだとか。なるほど、だから人の肌は水を通さないのですね。

今回明らかにされた人間の皮膚組織の仕組みは、今後皮膚を通して薬剤を浸透させる治療法や、皮膚病対策などに非常に役立つとされているよう。防水バリアという発見は、裏を返せばそのバリアを一時的に取り払ってしまえば、液体を体の内部へ浸透させることができるということの証明にもなり得ます。これはつまり、今後皮膚を介して患部へ直接薬を届けるための新技術が生まれる可能性がある、ということ。今まで副作用を伴う薬を服用することでしか治療することができなかった症例にも、この方法でなら対応することができるので、これは医療の改善につながる意義ある発見だといえるでしょう。

「肌の水耐性」という仕組みに隠されていた、人体の不思議。人の体って本当によくできているのだな、と改めて感服します。ちなみに、化粧水や美溶液などの類は、「体の内部」ではなく、液体が侵入できる「皮膚の真皮」まで浸透させるためのアイテムなので、混同しないよう注意してくださいね。