「断」
「【断 呉智英】知識人のセンセ方の妄言は…」(産経新聞)
→ http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080615/acd0806150331002-n1.htm
支那四川大地震について米国女優シャロン・ストーンが「カルマ(業)だわね」と発言。殺到する批判に映画出演を降りることになった。いやあ、健全ですな。むろん、バカ女優の妄言がではない。妄言を批判する世論がである。
今年十三年になる阪神大震災の時、誰がどんな妄言をしたか、思い出していただきたい。今回の妄言の主は、言っちゃあ悪いがただの女優。しかし、阪神大震災の時は一流(かどうかは知らんが)の知識人の同じような妄言を日本の世論は全く問題にしなかった。
どんな妄言だったか。
震災直後の二月十九日付本紙で恵泉女学園大学講師(当時)李基愛センセが「なぜ、地震が起こるのか」解説なさっておられる。地震は「愛の波動」だというのだ。地震は人間の出すエゴという毒素を外に出す働きを持つのだと、大震災を“科学的に”支持された。
震災三カ月後の四月には岩波書店(広辞苑や岩波文庫の岩波書店だよ)から『神戸難民日記』が出た。著者は一九七〇年代の差別摘発運動の中心人物であり全共闘運動の研究家でもある津村喬センセだ。センセは「神戸市にバチが当たった」「開発に地面が怒った」と書く。そして「日本は地震のおかげでようやくアジア並みになった」「難民になったようでわくわくする」と震災を歓迎された。
その後、李基愛センセも津村喬センセも何の批判を受けることもなく、のうのうと仕事も続けておられる。日本の世論は妄言という毒素を外に出す能力はないのか。(評論家)
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