眼中ニ涙ヲ含ミ口辺ニ微笑ヲ帯ビタリ
「岡倉天心の「モナリザ」鑑賞の直筆草稿、茨城で公開へ」(読売新聞)
→ http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20080410-OYT1T00756.htm
明治から大正にかけて活躍した美術思想家、岡倉天心が欧州を視察した際、パリのルーブル美術館でレオナルド・ダ・ビンチのモナリザを鑑賞した感想をつづった直筆の草稿が見つかった。茨城県天心記念五浦(いづら)美術館(北茨城市大津町)で、18日から9月30日まで、一般公開される。
天心は東京大学を卒業後、文部省に勤務。1886年から翌年にかけて、国の美術取調委員として欧州に派遣された。その際、「欧州視察日誌」を残したが、ルーブル美術館についての記述はなく、貴重な発見と言えそうだ。
同館は、明治30年代(1897〜1906年)に書かれたと見られる草稿を、天心の書生の遺族から入手した。欧州の芸術と宗教についての講義などをするために準備した下書きとみられ、幅約16センチ、長さ約2・2メートルの巻紙に墨で書かれ、所々に線が引かれている。
モナリザに関する部分は「此(この)像ハ是レ一個人ノ肖像ナルニ過ギズト雖(いえど)モ(一部削除)當時(とうじ)基督(キリスト)教ノ神髄ヲ得タル一名筆ナレバナリ」と絶賛。ほほ笑みについても「眼中ニ涙ヲ含ミ口辺ニ微笑ヲ帯ビタリ、豈(あに)心ニ暗愁ヲ懐(いだき)テ笑テ世人ヲ慰ムルノ意ナルナカランヤ」と、印象を記している。吉川常英館長は「天心が西洋文化を評論した直筆の文書が見つかったのは初めてではないか」と話している。
『茨城県天心記念五浦美術館公式ホームページ』 http://www.tenshin.museum.ibk.ed.jp/
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「 遠慮めさるな 浮世の影を 花と夢見し 人もいる 」
―― 岡倉天心