NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

「中村元」の世界

久しぶりに本屋巡り。

紀伊國屋札幌本店で『「中村元」の世界』をやっていた。
 → http://www.kinokuniya.co.jp/04f/d05/4_050001.htm


中村元―仏教の教え 人生の知恵 』(河出書房新社
靖国神社問題への言及が興味深い。


中村さんは「怨親平等(おんしんびょうどう)」の観点から靖国問題を見る。google:怨親平等
日本には、怨親、つまり敵も味方も、平等に弔う風習がある。武士同士の一騎打ちはもちろんのこと、元寇の際は元の戦死者をも弔ったという。また、島原の乱においては、異教徒であるキリスト教徒も弔った。
敵国であろうとも、異教徒であろうとも、平等に弔うのが日本の怨親平等である。


葉隠れから引用をしている。

「慈悲の眼に憎しと思ふものあらじ 科(とが)ある者をなほもあはれめ」


また、政教分離を引き合いにした参拝批判も危惧していた。
もともと政教分離は欧州での陰惨たる宗教戦争の歴史から生まれたもので、日本にはその下地がない。

政教分離を徹底すると宗教を否定する共産主義に走ることになる。従って、現在のヨーロッパでは政教分離よりも、むしろ、宗教を取り入れる方向に向かっているとのこと。


日本の神社には、他宗派、仏式やキリスト教式での参拝も認めるものもあるそうだ。靖国神社もそれくらいの度量があって良いと思う。


日本人は戦犯であろうとも、他宗派であろうとも、平等に弔う。
慈悲の眼には憎いと思うものはない。


何よりもまず、日本の文化、宗教観を世界に向けて説明するべきだ。